8歳になったらチェックしたい学習障害(LD)の特徴

発達障害というと、自閉スペクトラム症・ADHD・学習障害という3つをイメージされる方も多いことでしょう。自閉スペクトラム症やADHDに関する情報や資料はかなり多くありますが、学習障害に関する情報は実はあまり多くはありません。しかし、現代では小学生の中に数%の学習障害児がいると言われています。そこで今回は、8歳を目安に確認しておきたい事項についてまとめていきます。

学習障害(LD)の診断基準

学習障害とは限局性学習症ともいわれており、英語表記ではLDと表記されています。学習障害の診断基準を見ると特徴が見えてきますので、先に学習障害の診断基準をご紹介していきます。ここで紹介している診断基準は世界的基準であるDSM-5の診断基準です。

A. 学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状の少なくとも1 つが存在し、少なくとも6カ月間持続していることで明らかになる。
1. 不的確または速度が遅く、努力を要する読字(例: 単語を間違ってまたゆっくりとためらいがちに音読する、しばしば言葉を当てずっぽうに言う、言葉を発音することの困難さをもつ)
2. 読んでいるものの意味を理解することの困難さ(例: 文章を正確に読む場合があるが、読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解していないかもしれない)
3. 綴字の困難さ(例: 母音や子音を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりするかもしれない)
4. 書字表出の困難さ(例: 文章の中で複数の文法または句読点の間違いをする、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない)
5. 数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ
6. 数学的推論の困難さ(例: 定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である)

B. 欠陥のある学業的技能は、その人の暦年齢に期待されるよりも、著明にかつ定量的に低く、学業または職業遂行能力、または日常生活活動に意味のある障害を引き起こしており、個別施行の標準化された到達尺度および総合的な臨床消化で確認されている。17 歳以上の人においては、確認された学習困難の経歴は標準化された評価の代わりにしてよいかもしれない。

C. 学習困難は学齢期に始まるが、欠陥のある学業的技能に対する要求が、その人の限られた能力を超えるまでは完全には明らかにはならないかもしれない(例:時間制限のある試験、厳しい締め切り期間内に長く複雑な報告書を読んだり書いたりすること、過度に重い学業的負荷)

D. 学習困難は知的能力障害群、非矯正視力または聴力、他の精神または神経疾患、心理社会的逆境、学業的指導に用いる言語の習熟度不足、または不適切な教育的指導によってはうまく説明されない。

DSM-5の診断基準を引用

診断基準を更にわかりやすく

DSM-5による診断基準は、日本の病院でも利用されているものなので信頼性はあるのですが、少しわかりにくい部分があると思います。そこでここからはDSM-5をよりかみ砕いた表現で解説していきます。

まず学習障害の定義から見ていきましょう。「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すもの」と定義づけられています。

まず大切なのは「知的発達に遅れはない」という事を認識しておきましょう。次に「聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する」の何れかの能力に限って、習得や使用が困難な場合に学習障害と言われるのです。学習障害は限局性学習症ともいわれると冒頭で紹介しましたが、少し意味合いがわかりますね。全ての能力に困難があるのではなく、限られた能力だけに困難が見える。それが学習障害と言われるものです。

これらを大きく分けて3つのタイプにまとめてみます。

  • 読字障害(読みの困難・障害)
  • 書字表出障害(書きの困難・障害)
  • 算数障害(算数、推論の困難・障害)

それぞれディスレキシア、ディスグラフィア、ディスカリキュリアなどといった英語表記もあります。この3つのうちどれか当てはまるかな?と考えると分かりやすいかもしれませんね。

学習障害児の苦悩

そのためセルフ診断には難しさがあると言われています。なぜかというと、いわゆる「優等生」であっても、話す部分に学習障害の特性が出ているような場合は、「あの子は本当によくできる優秀な子。でも人見知りで話すのは苦手なのよ」というように、あまり大きな問題に上がってこないことがあるのです。または「国語はすっごい得意なのに、なぜか算数だけは全然だめで」というのも発達障害の特徴が出ていると考えることができるのですが、この程度で病院に行くという事はあまりないでしょう。

そのため自閉スペクトラム症やADHDと比べても、診断がついている人は少ないと言えるのです。しかし、だからといって、それで問題ないかと言われればそれは違います。

人によっては診断がついた方が楽になる人もいます。少し表現を変えるとその子を取り巻く周りの大人の意識を変えるためにも診断がついた方が良い場合があります。それはどういう時かというと、保護者が勉学に力を入れている場合に多いと言えます。その子が計算することに困難さ(障害)を抱えているのに、根性論で計算ドリルばかりずっと取り組ませてしまっては、その子は苦しくてたまらないでしょう。学習障害の子が計算ができないというのは、障害なので根性論でどうにかなるものではありません。私たちに置き換えれば数学者が解いているような難解な問題のドリルを毎日やれと言われているようなもので、やろうと思ってもどうしたらいいか分からない。苦しい。嫌だ!勉強なんて大嫌い!こう思うことでしょう。

自閉スペクトラム症、ADHDよりも認知されていなくて、理解もされていないのが学習障害だと感じます。理解されない障害を持っている事は本当につらいことです。

だからこそ今回学習障害のチェックリストを用意しました。今から紹介するものは小学校に上がるタイミングの8歳をひとつの目安にしたリストです。学習障害は小学校の勉強が始まる7歳、8歳から特性が見え始めると言われていますので参考にしてください。

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8歳時点での学習障害チェックリスト

※前提として、ここで紹介する傾向が6カ月以上継続して見られているか確認してください※

  • 文字の形が似ていると区別がつかない「わ」と「れ」、「め」「ぬ」など
  • 読み飛ばしが著しく多かったり、スムーズに読めない
  • 読むときに過度に緊張している
  • 文字としての認識は難しいが、音としての認識なら可能
  • 文章を読んでいるときに、どこを読んでいるか分からなくなることが多い
  • 文字を所定の枠内におさめて書くことが難しい
  • 黒板の板書をするのに時間がかかる
  • 文字のバランスをとることが難しい
  • 促音や拗音を正しく理解できていない
  • 数字の認識ができない、数字の規則性が理解できない
  • 他の教科に比べて極端に苦手な教科がある
  • 「+、-、×、÷」の記号が理解できない
  • 繰り上がり、繰り下がりの計算ができない

他にも細かなものはありますが、大まかにはこのくらいのチェックリストで十分傾向が見えてくるでしょう。チェックをする際には、先ほども紹介した3つのタイプを思い出してください。

  • 読字障害(読みの困難・障害)
  • 書字表出障害(書きの困難・障害)
  • 算数障害(算数、推論の困難・障害)

ここに照らし合わせることで、学習障害に該当するものなのかそうではないかがわかると思います。

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著名人にも多いディスレキシア

学習障害のひとつである読み書き障害(ディスレキシア)であると、公表している著名人は案外多いものです。以下にその中でも著名な方を列挙します。

  • トム・クルーズ(俳優)
  • オーランド・ブルーム(俳優)
  • キアヌ・リーヴス(俳優)
  • スティーブン・スピルバーグ(映画監督)
  • ジェニファー・アニストン(女優)

このように欧米の方を中心に名前が挙がっています。ここで少し疑問がでてきます。「日本人はいないの?」という事です。ネットで「ディスレキシア 日本人 有名人」と検索してあまり出てきません。これは日本人はディスレキシアを発症しにくいという事ではありません。どちらかというと文化的な問題が大きいと言えます。例えば、欧米に比べ日本ではそこまでディスレキシアについて知られていないという点が挙げられます。発達障害というと真っ先に浮かぶのが「自閉症」と「ADHD」でしょう。この2つはここ数年で一気に広まった印象はあります。しかし学習障害はまだ認知がされているとは言えません。そして学習障害の中のひとつである、ディスレキシアはさらに認知が遅れていると言えるでしょう。そういった背景もあり、日本人の著名人は名前が上がってこないと言えそうです。

そしてもうひとつ理由があると私は思います。これは完全に私の主観ですが、「日本ではディスレキシア(発達障害)を公表しにくい文化がある」のではないでしょうか。芸能人の方がディスレキシアを公表するとデメリットが多くなってしまう。そのため公表しないという方も多いのかなと考えます。最近では著名人の方でも、発達障害を公表する方が少しずつ増えてきましたので、この流れは広まって欲しいと願います。

上記の方のように、ディスレキシアを持っていても、世界的に有名な方や活躍されている方は大勢いるわけです。障害者としてレッテルを貼るのではなく、その特性を活かして活躍するにはどうしたらよいのかという発想に繋がる時代を期待します。

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【まとめ】8歳になったらチェックしたい学習障害(LD)の特徴

いかがでしたでしょうか?

学習障害のチェックリストはあまり多くありません。更に中には過去の経験だけで書いているものも多いので注意してくださいね。ここの記事では世界的基準のDSM-5に照らし合わせてご紹介していますので、一定の信頼感はあるのではないかと考えています。

またチェックリストでチェックしたのちは、支援をするための知識を収集しましょう!すぐに病院に行っても良いですが、そこまでの判断が適切なのかもまだわかりません。そして学習障害の診断テストを行うにも予約などで時間がかかるものなのです。そのため、まずは学習障害や発達障害とはどういったものなのかをしっかりと把握し、そのうえで病院に行くなら行くという決断をするべきでしょう。

基礎知識があれば、医師から話があっても落ち着いて対応できるはずです。無知の状態でいきなり病院に行くと医師からいろいろ聞かされパニックになることが多いと言います。是非参考になさってください。

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