学習障害(LD)の子供への適切な対応と伸ばし方

学習障害を持っている小中学生は、実に4.5%ともいわれています。50人いたら2、3人は学習障害だということです。この数字は年々増えてきており、この記事をご覧の方の中にも、子供が学習障害で、、、という方は多くいらっしゃることでしょう。

発達障害の中のひとつ、学習障害(LD)を持つ子供に対しての適切な対応方法を見ていきましょう。

学習障害(LD)の子供への適切な対応と伸ばし方

まずは学習障害の定義を見ていきましょう。文部科学省が発表している文章をそのまま引用します。

基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聴く・話す・読む・書く・計算する、または推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態をさすものである。学習障害はその原因として、中枢神経に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害・聴覚障害・知的障害・情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

文部科学省より

つまりは、聴く・話す・読む・書く・計算・推論のうちひとつでも習得や使用が困難である場合、その子は学習障害(LD)と診断されるということです。

では、その習得や使用が困難という判断は、どのようにするかと言われれば、同学年の子どもの平均値と比べたり、その子自身の他の要素とのバランスで診断が下ります。「他の子と比べて明らかに平均以下」「自分の他の能力と比べて明らかに低い」この2つとなります。

学習障害(LD)のひとつである、読み書き障害について

学習障害(LD)は、聴く・話す等先ほど紹介したものの、いずれかの能力が低いと学習障害として診断が下るといいましたが、その中でも多くの子に診断が下るものの一つに、「読み書き障害(ディスレキシア)」というものがあります。

読み書き障害(ディスレキシア)とは、その名の通り、読むことと書く事の能力が低く、習得や使用が困難である障害です。明確な定義としては、

通常の教育を受け、十分な知能を持ち、社会文化的な機会を与えられても生ずる、読みの学習上の困難という形で表現される一つの障害である

つまり、本人の怠慢でもなければ、保護者の努力不足でもないということです。「読み」「書き」という基本的なことであるがゆえに、周りからは学習時の工夫や努力が足りないのでは?と思われてしまうことが多くあるようです。

しかし、これは脳に起こっている障害であるためそのようなことは一切ありません。

読み書き障害(ディスレキシア)の特徴

読み書き障害(ディスレキシア)の特徴としては、

  • 音の聞き取りや音の記憶に困難がある
  • 背景から特定のものを抽出できない
  • 音と文字の結びつきが弱い
  • 動きやお区域がわからない

このような特徴があります。具体的には、以下のような事例を挙げられます。

・12歳の凄く頭の良い子供の例です。お弁当箱の絵の中に、おかずが何個入っているということは知っているのですが、「文章で書いて」というと、ちゃんと書くことはできないのです。

・読み書き障害(ディスレキシア)の方に「ここまでどうやってきましたか?」と聴いて書いてもらっても、うまく書くことが出来ない。その場にいない人の名前を出し、「その人の顔を書いてみてください」と言ってもうまく書けない。あいうえお、かきくけこと連続して書くことはできるが、「あき」と書いてください。というと、「あいうえお、かきくけこ」と書き、そこから「あき」を拾い出す書き方になる。

これらの特徴が出る要因として、読み書き障害(ディスレキシア)の方の場合、文字を文字としてではなく、ロゴのようなデザインとして捉えることがあります。そうなると脳の使う部分が大きく異なります。そのため、文字として教えるよりも、デザインとして文字を教える方法も有効な場合があるようです。

もうひとつの特徴として、「筆」で書くとうまく書けるという方も多いようです。鉛筆では止め、ハネ、ハライの動きがあまりないですが、筆の場合は動きが多くあります。この動きがあったほうが記憶しやすいようで、筆を使った訓練も良く行われます。ディスレキシアを抱えながら、有名な書道家になった方も多くいます。

外部リンク
発達障害児支援の人気資格|児童発達支援士公式サイト

学習障害(LD)の子供の伸ばし方

学習障害の子に対して、マニュアル的な教え方はやめましょう。子どもの特性をしっかりと見極めてあげることで改善されます。

子供が自分自身で解法を見つけることが出来るようになるのは、小学校3年生ごろです。それまでの期間は、自分で解を見つけることが難しいわけですから、解を見つけられないときの対処法を一緒に見つけることが非常に重要です。「できる」「できない」ではなく、子供がどのように学んで行ったらよいのかを具体的にイメージできるようにしましょう。

それが子供の自己肯定感を守る大切な行為となります。自己肯定感の重要性は下記より別の記事をご覧ください。

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小学校に上がるタイミングで、「自分なりの学び方」を確立できるかどうかで、学校生活が楽しいものになるか、そうではないかが決まってしまいます。非常に重要なことですから、この期間は保護者の皆様も、「算数を教える」「ひらがなを教える」というひとつひとつの能力に着目するよりも前に、「この子なりの勉強法」を見つけることに時間と労力を割くようにして下さい!

例えば、1階から2階へ行きなさい!と言われれば、通常は階段かエスカレーターで行けばよいかと判断できますが、学習障害のこの場合はこの判断が出来ません。ですから、階段のある場所まで一緒に行き、一度は一緒にあがってあげるという行為をします。そうすると次回からは困りません。

保護者が一緒に学びを手伝ってあげることで、子供の自己肯定感が高まるのでその後の人格形成にも良い影響を及ぼすことでしょう。

現代は学習障害(LD)の武器 プログラミングが適している

正確に言うとプログラミングではなく、パソコンやIT技術です。学習障害(LD)などの発達障害を抱えている方の、救世主になる可能性があるのが、パソコンです。発達障害の子供たちは、「臨機応変な対応」というものが非常に難しく感じます。これは障害と言われていない大人でも難しい部分でもあります。

2000年に入ってから、世の中はサービス業であふれかえりました。皆さんも一度はサービス業を経験されたことがあるのではないでしょうか。それほどまでに広まったサービス業ですが、2020年転機を迎えました。それがコロナです。新型コロナウイルスの拡大により、どの企業も店舗を縮小する傾向が出てきて、オンライン化を本格的に進めています。

その結果、重宝するようになったのが、他でもないパソコンというわけです。お子さんはゲームは好きですか?もしこの質問にYes!が返ってきたならば、今すぐにでもお近くのパソコン教室やプログラミング教室に通わせるべきです。特にプログラミングは論理思考の塊ですから、頭の中で思考を一つずつ積み重ねるという訓練が出来ます。このあたりの詳細は下記の記事からご確認ください。

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教室によっては、発達障害児だとNGを出す教室もあるかもしれませんし、あまり大きな場所だとお子様もその環境に疲れてしまう可能性があるので、個人でやられているような教室やホームティーチャーで、なおかつ創業10年以上のしっかりしたところが良いでしょう。なぜ創業歴が大切かというと、経験値の違いです。10年もやっていればかなりたくさんの子供相手にしてきています。その対応経験があるかどうかは、大きな違いです。

【まとめ】学習障害(LD)の子供への適切な対応と伸ばし方

読み書き障害(ディスレキシア)と診断されている著名人として、俳優のトムクルーズさんがいらっしゃいます。トム・クルーズさんは台本をよんで覚えることが出来ないため、台本をテープレコーダーに録音してもらい、それを聞いて覚えているんだとか。自分なりの対処を理解すれば、世界的に活躍できる人間にも慣れるという何よりもの証拠ですね!!

また映画監督のスティーブン・スピルバーグさんもディスレキシアだと公表されています。

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お子様の特徴をしっかりと見極めて、改善の道を探っていきましょう。