話が聞こえているけど聞き取れない?原因は聴覚の処理能力にあった?

誰かと話をしている時に周囲の雑音が気になって話をよく聞き取ることができない、聴力には問題がないはずなのに聞こえづらさを感じる。そんな事が多々あり、日常生活に影響が出る方がいらっしゃいます。原因はもしかしたら、「聴覚情報処理障害」や「聞き取り困難」と呼ばれている障害かもしれません。今回はこの2つの症状についてご紹介していきたいと思います。

聴覚情報処理障害や聞き取り困難ってどんな障害?

「聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder:以下APD)」と「聞き取り困難(Listening difficulties:以下LiD)」は日本ではまだあまり周知されていないもので、医学的な診断名ではありません。明確に定義をすることも難しい障害といわれており、医師であっても知らない可能性のある障害です。

言葉として聞き取れはするのですが、その言葉の意味が分からない。周囲の雑音ばかりが耳に入ってしまい話が聞き取れない。言葉をうまく聞き取れずに、相手の言ってることが分からないなどが挙げられます。

特徴や症状の一例

  • 聞き返すことや聞き間違いが多い
  • 長い話を理解することが難しい
  • 雑音などが多く、環境が悪いと聞き取りが難しい
  • 音声で指示されると反応が遅れてしまう
  • IQは平均以上あるが理解ができない 等

難聴との違いとは

難聴は伝音難聴と感音難聴といった2つの種類があり、どちらも音を脳に伝える間に障害があり、聞こえづらさを感じたりまったく聞こえなくなったりする症状です。一方、APD/LiDに関しては耳の機能自体は正常で、聴力などにも問題がないため音を聞くことはできます。ただし、その後の理解したり、聞こえづらさを感じたりすることがあります。APD/LiDと難聴は共通した症状はありますが、耳の機能に異常があるかどうかといった点が違いとなります。ですが、難聴とAPD/LiDが合併することもあるようですので、注意も必要です。

原因や発達障害との関連性は?

2023年現在ではAPD/LiDの原因として脳の障害や特性だけではなく、過度な不安やストレスによって生じることがあるといわれています。

その中で最も多いといわれている原因は発達障害だといわれています。皆さんもご存知かと思いますが、発達障害は生まれつき脳の特性によるものです。他人の気持ちを理解するのが苦手であったり、耳からの情報に弱い傾向がある子などが多くいます。そのため、発達障害を持つ人にはAPD/LiDを持つ方が多いといわれているようです。また、遺伝についてはまだ関係は解明できていないようです。

改善方法は?

2023年現在では明確な治療法は確立されていません。様々な対応に追われているのが現状です。しかし、聞こえづらさを改善するための対処法はいくつかあります。これを行うことで症状の軽減などが期待できますが、あくまでも根本の解決にはなっていない事はご注意ください。

対処法の一例

1.環境調整
APD/LiDには様々な原因で聞こえづらさを感じる場面があります。そのため環境を聞こえやすく整えてあげることで聞こえやすくなる場合があります。可能ならば周囲の雑音を抑える(窓を閉めたりテレビやスマホの音を消す等)もしくは雑音が少ない場所へ移動してみましょう。また、話している人との距離を縮めることも有効な場合がありますのでお試しください。

2.補聴手段の利用
雑音がある時の聞き取りが苦手な場合が多いので、補聴器や音声を認識して文字へと変換してくれるアプリの利用などをしてみましょう。補聴器ならば雑音があっても聞き取りやすくなったり、アプリの利用で聞き取れなかったとしても文字として認識できます。複数人で話すことがある場合はスマホのボイスレコーダーなどを利用することで、確認することができます。

3.聴覚トレーニング
言語聴覚士との1対1のトレーニングを行い、正確に言葉を聞き取るためのトレーニングなどを行います。聞き取るのが苦手な音や似ている音などを繰り返し聞くことでその音に対して慣れて、聞き取りやすくなることがあります。また、聞き取れなかった時にはどのように聞き返すのが良いのかなどもトレーニングの1つになります。耳から入ってくる情報に注目する、傾聴力を向上させることが大切ともいえるでしょう。

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そして、聞く力だけではなく、様々な言葉を知ることもトレーニングの1つになります。知っている言葉が増えれば聞き取りづらくても推測できる可能性が高まります。新聞や本を読んで語彙力を向上させてみましょう。

4.心理的な支援
ストレスや不安といった心理的問題によって聞こえづらさを感じている可能性もあります。この場合は他の精神疾患などの二次障害に繋がってしまう恐れもあるため、カウンセリングなどを受けるようにしましょう。

 また、人によっては聞き取れないせいで他者に叱責されたり、嫌な思いを何度も経験したせいで自己肯定感が低い方もいらっしゃいます。そして、聞こえない自分が悪いと考えてしまうことで更に自己肯定感が下がってしまいます。こうしてストレスが積み重なることで更に聞こえづらさを感じて、より悪い方向へ向かってしまうことも考えられます。

まずは聞き取れない自分が悪いと責めるのをやめることが大切です。そのためには、周囲の方の手助けや心療内科といった専門家への相談などを行いましょう。聞こえないのは本人のせいではありません。

気になることがある時は?

子どもが何度も聞き返したり、反応が遅いなど気になる点がある場合にはまずは耳鼻科に行って診断を受けましょう。ですが、先程も言いましたがあまり周知されていない障害のため、例え耳鼻科の医師だとしても知らずに、聴力に問題がなくそこで診察が終わってしまう可能性があります。

以下に簡易的にチェックリストの一部を記載します。もしも、項目の多くに当てはまり耳鼻科で問題なしと診断された場合には他の耳鼻科にてセカンドオピニオンとして相談へ行っても良いでしょう。また、より詳しいチェックリストとして「フィッシャーの聴覚情報処理チェックリスト」というものもありますので、こちらもご覧下さい。

□「え?」または「何?」という言葉を1日に少なくとも5回あるいはそれ以上言う
□しばしば言われたことを間違って理解している
□音の識別に関して困難を感じたことがある
□背景の音がするとすぐに気が散る
□聴覚チャンネルを通しての学習がうまくいかない
□長い話をきくといつのまにかぼんやりしてしまう

チェックリストはあくまでも簡易的な診断補助ツールであり、診断を確定するものではありません。これによって受診の必要など無いとしても、悩みや不安が続く場合や周囲の方で気になる方がいるようでしたら、医師や各種支援機関などに相談してみることをおすすめします。

【まとめ】話が聞こえているけど聞き取れない?原因は聴覚の処理能力にあった?

ここまで話が聞こえているけど聞き取れない原因のAPD/LiDについて紹介をしてきました。発達障害を持つ方に現れることが多いのですが、それ以外の方には現れないという訳ではありません。

聴力の検査を行って問題が無いにも関わらず、仕事や日常生活など様々な場面で聞こえづらさを感じている方は間違いなく多くいらっしゃいます。原因はAPD/LiDにあるとは言い切れませんが、こういったことで悩んでいる時には1人で抱え込まずに一度専門家や信頼できる相談所などへ相談してみてはいかがでしょうか?

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