もしも災害が起きた時に発達障害の困りごととは

令和6年1月1日に能登半島にて発生した能登半島地震におきまして、お亡くなりになられた方々、そのご家族、ご親族、ご関係者の方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

被災地の一日も早いご復興をお祈り致します。

 

ここ最近、大小問わず地震が各地で発生しています。もし地震を始めとした大きな災害に巻き込まれた時は、自宅などの普段過ごしている場所とは違い、避難所などで長期的に過ごさなければいけないことがあります。そのような普段とは違った状況で、全く知らない他者と同じ空間を共に過ごすことになります。

これは障害の有無関係無しにとてもストレスがかかります。そしていつ戻れるか分からない状況が長く続くことが考えられます。そして強くストレスがかかる時が長く続いていくと、様々な困りごとやトラブルが発生しやすくなります。今回はそんな災害時に起きやすい困りごとや、事前に備えておくことなどを紹介します。

発達障害を持つ方のよくある困りごと

まず挙げられる困りごととして「避難所に行くことができない、行きづらい」ということです。

それは今までに多くの人が集まる場所で子どもが浮いてしまっている、大きい声を出し続けてその場に居辛くなってしまったなどの周囲に迷惑をかけてしまった経験が何度もあることから、避難所に行った時が不安で行けないといったことがあります。

その場合、車中泊だったり、危険だと分かりつつ自宅にいたりと大変な思いをされています。これは発達障害だけではなく、身体障害、精神障害を持つ方、小さなお子さんがいる方なども同様に周囲の目が気になってしまい避難所から離れていく方もいます。悲しい話ですが、避難所から追い出されてしまったというケースもあるようです。聞いていてとても心が痛くなりました。

また、普段とは異なる状況のため、その時に必要な情報(避難情報、警報、避難所のルールなど)を正しく整理して行動することが難しいことがあります。

そしてこれは日常生活でもあるのですが、自分の知りたいことやして欲しいことをスタッフへ適切に伝えられないことがあります。例えばトイレがどこか分からず、混乱してパニックになってしまう、食事が何時からか分からないけど聞けないなどが挙げられます。

一昔前に比べて発達障害について少しずつ理解されているのですが、災害時という特殊な状況になると人は周りに気を配る余裕が減ってしまいます。

事前に備えておくことが大切

では、そんな避難所などの大人数の場所に避難しなければいけない状況になった時にはどうすればいいのでしょうか?それは「事前の準備」がとても大切になります。

発達障害の特性がある方には、何か予定外の事態が起きた時にパニックになることが多くあります。パニックにならないように、災害が起きた時を想定して先に準備をしておきましょう。

例えば、今回は大地震が発生した事態を想定します。大地震が起きた時に事前に備えておくと良い事をいくつか挙げてみます。今回は食べ物や飲み水などは置いておき、それ以外の一例を挙げています。

災害が発生した時に発達障害も持つ方に必要なこととは

  •  緊急避難先の確認はしている?(近くの避難所など)
  •  緊急の連絡先は分かる?(両親、家族、施設スタッフ、病院など)
  •  連絡する手段はある?(携帯電話、その他電話番号のメモなど)
  •  避難する時に持っていく物や身に着ける物は?
  •  避難する時に必要な物はどこに置いておく?
  •  発達障害を持つ方が苦手な物とその対策は?(匂い・音・視覚的刺激など)
  •  自分の事を簡単に伝える準備は出来ている?

 

少し細かいように感じるかもしれませんが、具体的に決めるのは悪いことではありません。むしろあいまいに決めてしまうと、発達障害を持つ方だと理解できないこともありますし、これは災害時という普段とはまったく違う状況を想定しています。「どうしたらいいの!?怖い!!」とパニックになってしまうことも考えられるので、あらかじめ具体的に決めておき、普段から定期的に確認しておくようにしましょう。そうすることで、何か起きた時に「地震が起きた時にはこうするんだ!」と思い出すことで完全に落ち着くことが出来なくても、少しでも落ち着くことができれば、各段に動きやすくなることでしょう。

そして、事前に必要な物を準備しておくことで、避難所の周囲の人に迷惑をかけてしまう・・・あれもこれも必要ってスタッフの人に言いづらい・・・といった事態を避けることにもつながります。

また、ここで挙げた物は一例です。人によって特性が違うため、ご本人に合わせた準備をするようにしましょう。そして親御さんだけで必要な物を準備するのではなく、お子さんと一緒に「これはどんな時に必要かな?」「これがあるといいよね」と一緒に考えて準備しましょう。

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お子さんと一緒に避難時に必要なものを絵柄付きで分かりやすいチェックリストなどもありますので、ご紹介します。あくまでも一例ですので、他に必要な物も加えるようにしましょう。

外部リンク
セーブ・ザ・チルドレン 子どもにやさしい防災 もしものときのために、こどもと一緒に備える防災

避難所のスタッフに特性を伝えておく

ここからは避難をした後のお話になります。避難所にはスタッフが何名かいます。避難所でなるべく落ち着いて過ごしていけるように、そのスタッフの方に発達障害の特性や、どんなことが苦手(大きな音、で、こういう状況になるとパニックになりやすいなどを伝えるようにしましょう。

避難所ではエコノミークラス症候群の予防のために体操などを行うことがあります。その時に大音量で音楽を流すこともあり、事前に苦手だと伝えておくことで一言かけてもらえるため、大音量の音楽に驚いてパニックになってしまうといった事態を防ぐことができます。

ですが、災害時には何が起きるか分かりません。1人だけで避難する状況も考えられますので、自分のことを詳細に書いた物を持ち歩いておくと、会話で自分のことを伝えるのが苦手な方でも、相手に自分のことを伝えやすくなります。

また、食べられない物などを書いておくのも良いでしょう。食べ物でパニックを起こしてしまうのに、「好き嫌いをしている」「わがまま」だと捉えられる可能性もあります。事前に伝えておくことで避けられる可能性があります。

対応する側になった時の心構えとは

最後に発達障害を持つ方へではなく、避難所のスタッフをする時の心構えなどのお話になります。

発達障害の特性があると伝えられた場合には、そのご本人のことを理解している人がいるならば、その人にどのように接すれば良いのか確認をしましょう。その避難所で用意できる範囲で必要な物(薬や筆記用具など)があるのか、何か配慮したほうがよいこと(パニックになった場合に落ち着ける場所や、話しかける時に注意することなど)はあるのかが挙げられます。

そして、発達障害の特性がある方にはなるべく分かりやすく具体的に伝えることを心がけましょう。

例えば「そちらに行っては駄目です」だと「そちら」が理解できないことがあります。ですので具体的に「赤いシートの所へ行かないでください」と伝えるようにしましょう。場所を伝える時、時間を伝える時、予定を伝える時などコミュニケーションを取る時には必ず具体的に、できたら分かりやすい絵などがあると更に良いでしょう。

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また、災害時は支援には支援者の安全や心の余裕もとても大切です。心身ともに疲れ果てて余裕が無くなってしまい強くあたってしまうこともあり得ます。そんな時は、決して自分を責めずに、一度落ち着く時間を取るようにしましょう。

こちらは支援時の対応方法などがまとめられているリーフレットです。こちらも参考にされてください。

外部リンク
発達障害ナビポータル 災害時の発達障害児・者支援について

【まとめ】もしも災害が起きた時に発達障害の困りごととは

ここまでもしも災害が起きた時の発達障害の困りごとや、その対応策の一例、支援者側の心構えなどを紹介してきました。

いつどこで巻き込まれるか分からない物のため、日頃の準備をしておき、定期的に発達障害の方と周囲の方が一緒に必要な物はあるのか、必要な物はどのような時に使うのか等を確認しておくことで、もしもの時の対応が変わってきます。

この機会に、ご本人とその周囲の方で一緒に少しずつ準備をしてみてはいかがでしょうか?

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