ADHD(注意欠陥・多動性)の子供のワーキングメモリを知る

ADHDの子供は「忘れ物が多い」や「すぐ物をなくす」といった特徴があります。これは脳機能の一部であるワーキングメモリがうまく働かないがために起こることです。このことを理解してれば「怒り」もあまりわかないようになります。発達障害児の支援をする時の基本は理解です。理解することで、言葉がけや皆さんの感情も大きく変わってくるでしょう。ではワーキングメモリを深く理解していきましょう!

ADHD(注意欠陥・多動性)の子供のワーキングメモリを知る

brain

ワーキングメモリとは、脳の前頭前野の重要な働きのひとつで、作業や動作に必要な情報を一時的に保持しながら、活用する機能のことです。作業記憶ともいわれます。

例えば、私たちが会話ができるのは、相手の言葉を一時的に保持して受け答えをしているからです。このように必要な情報を一時的に保持しながら活用する脳の機能を「ワーキングメモリ」と言います。

ワーキングメモリは、決められた情報容量の中で情報の処理と保持を行います。物忘れが多いこの場合は、必要のない情報を必要以上に収集してしまい、その情報が

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ADHD(注意欠陥・多動性)の特性をもつ子供の中には、このワーキングメモリがうまく働かない子供がいるといわれています。例えば、「授業中は席に座っている」「他の人が話しているときは静かにする」という記憶が脳から抜けてしまい、授業中に立ち上がったり、話し始めてしまう。このようなことがあります。これは前提条件となる「座っている」「話さない」というものがワーキングメモリが働かないがために、なかったことになることが原因です。

このように考えると、ADHD(注意欠陥・多動性)の子供が、授業中歩き回ったり、騒いだりしてしまうのも、その子の性格や意思というものではなく、ひとつの障害であることが明確に認識できるのではないでしょうか。そのためこのような障害についての正しい知識を、親や先生が理解することは非常に重要になります。それが双方のストレスを軽減させる最善策であるといえるでしょう。

ADHDのワーキングメモリの改善は難しい!?

ADHD(注意欠陥・多動性)に限らず、発達障害と言われるものは、性格ではなく脳の機能障害であることから、根本的な解決は難しいとされています。その理由はいくつかありますが、代表的なものとしてワーキングメモリを司っている前頭連合野の体積が一定の形で発達している人よりも少ない傾向があるからだと言われています。そのため根本的な解決は難しいというわけです。

それはこのワーキングメモリに限らず他のことに関しても同じです。「空気を読むことが苦手」「感覚が過敏である」「常同行動をしてしまう」など、根本的に変えることは難しい。そのため保護者も、この1次的障害を「治そう」と考えるのではなく、1次的な障害からもたらされる2次的障害を「減らそう」と考えるのが賢明です。

2次的障害とは、いわゆる「いじめ・不登校・引きこもり・自傷行為・自殺」等が挙げられます。私は何度もその点を繰り返していますが、障害そのものではなく、障害とうまく付き合いながら、2次的障害を起こさないことが何よりも大切です。

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ワーキングメモリの補佐役になれるメモ癖

根本的な解決は難しいですが、対処することは可能です。

その一つとして、「メモ癖」をお勧めします。ADHD(注意欠陥・多動性)の子供は知的な遅れがあるわけではありませんから、字を書く事、自分で書いた文字を読むことは問題はいでしょう。またイラストを描くことが得意な子供もいます。

それであれば、「自分辞書」のような形で一緒に作ってみようよ!と誘いだし、メモ癖をつけさせるのも面白いと思います。自分辞書には、先生がいったことを徹底的にメモをさせる。もしくは、事前に学校で起こりえるパターン、友達関係で起こりえるパターンを伝えておき、そのひとつひとつをメモ(イラスト)にしていく。

こうすることで、後日それを見返しながら、どうしたらいいんだっけかな?と考えることもできますし、そもそもワーキングメモリではなく、通常の記憶に入れ込むことができます。当然その場その場の臨機応変な対応には、ワーキングメモリが必須で苦労する場面も変わらずあると思います。しかし、日常ワーキングメモリが不足していたがゆえに発生した困りごととは、ほとんどが”同じようなこと”ではないでしょうか。そんなに新らしいパターンが毎回訪れるとは思いません。そのため、子供が日常生活で苦手としていることを、まとめて言っても良いでしょう。

一度まとめますと、ここでいうメモ癖とは、

  • 先生の話していることをその場で徹底的にメモする習慣をつける
  • 事前に起こりうるパターンをメモ+イラストで記憶していく

この2つのことを言っています。どちらも試す価値はあると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

大人のワーキングメモリを高める方法

じつはこのワーキングメモリは、加齢とともに低下するものであり、50代前後からその低下を感じることがあるといわれます。ADHD(注意欠陥・多動性)の子供とは特性が当然違いますが、健常者でワーキングメモリが低下した際に、どのような対処があるかも紹介しておきましょう。その中でお子さんにも応用可能だなと感じるものがあれば、試してみましょう。十人十色ですから、「○○障害 対策」とひとくくりに考えるのではなく、「(子供の名前) 対策」と個別な対策を考えていくことをお勧めします。

  • 言われたらすぐやる!
  • メモを癖にする!
  • メモしたものを目に付く場所に貼る!
  • ビジュアル化(イラスト化)する!

先ほど挙げていたものと似たようなものが出てきましたね。そうなんです。私は発達障害のことをたくさん記事を上げておりますが、結局は「人は人」なんです。そのため特性が多少違えど、対処する方法はかなり似通っています。まずは「人というものは・・・」ということを理解することで、じつはある程度の対応方法が見えてくるものなのです。

そこが見えたうえで、特性や個性に合わせた対応を学んでいくと効率的だと思います。「人というものは・・・」に関しては、私の記事をたくさん読んでいただければ自然に身につくようにしています。知らぬ間に、共通の感覚が手に入る仕組みにしてありますので、安心してください☆

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【まとめ】ADHD(注意欠陥・多動性)の子供のワーキングメモリを知る

以上がADHD(注意欠如・多動性)の子供のワーキングメモリを知るについてでした。根本的な解決ではなく、子供の特性を知ったうえでどう声掛けをするべきか、どう働きかけるべきか、どう対策をうつべきなのかを考えていきましょう!

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外部リンク
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