発達障がい児の療育は施設で行うべき?それとも自宅で行うべき?

発達障がい児への支援として「療育」と言う言葉はよく耳にされるでしょう。ホームページで調べていくと、療育は施設に任せる方がよいというかたもいたり、自宅でのセルフ療育の方がよいという方もいたりして、今後療育を検討している方からすると迷ってしまうと思います。そこでこのサイトでは教育業に長く従事している私の立場から率直にお話をしていきたいなと思います。

そもそも療育とは?

まず療育とは何なのか。そこを確認していきましょう。こういった説明をしていくときにまず定義を理解しておくことが重要です。というのも、「療育」という言葉をよく耳にするから自分の子どもにも療育をと考えていらっしゃる方が案外多く、ふたを開けたら自分の求めていたものとは全く違ったということがあるからです。そういった意味でまずは定義の確認から行きましょう。ここでは児童発達支援士を認定する一般社団法人 人間力認定協会が紹介する療育とは?という一節を紹介します。

「心身に障害をもつ児童に対して、社会人として自立できるように医療と教育をバランスを保ちながら並行してすすめること。東京大学名誉教授の高木憲次によって提唱された概念で、「治療をしながら教育する」ことが大切であるという意味合いが込められている。すなわち「療」とは医療あるいは治療を意味し、「育」とは養育や保育もしくは教育を意味する」

日本大百科全書より引用

療育とは、医療と教育をバランスよく行う事。シンプルに表現するとこうなるようですね。そしてそのバランスが非常に重要だと言われています。医療にばかり意識が行き過ぎるのも良くない。逆に教育にばかり意識が行くのも良くない。両方をうまくやっていきましょうという事になります。

療育の種類とは

では療育にはどのような種類があるのでしょうか?ここでは代表的なものを紹介します。

  • 応用行動分析(ABA分析)
  • TEACCH
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)
  • 認知行動療法
  • 音楽療法
  • 運動療法
  • 箱庭療法

このようなものがあります。細かく言うともっとたくさんありますが、このくらいを押さえておけば十分でしょう。ひとつひとつの詳細につきましては、他の記事でも紹介しているのでそちらをご確認ください。

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療育を行う施設とは

療育を行っている施設にはどういったところがあるのでしょうか。一般的に療育を行う施設のことを「療育センター」と表現します。ただし療育センターがどのような形でどのようなことをするのかという規則はありません。そのため療育センターと言っても、療育方法やシステムは全く異なるものとなります。

療育センターとして、よく耳にするのは「放課後等デイサービス」ではないでしょうか。よく放課後デイと言われ、6歳~18歳の就学児童が通います。学校の授業終了後や学校が休みの日に、生活能力の向上のために必要な訓練を行います。

また幼児期には「児童発達支援センター」や「児童発達支援事業所」というところに通うことも可能です。放課後デイは小学生からになるため、未就学児の場合は児童発達支援センターや児童発達支援事業所に通うことになります。学びと遊びをうまくミックスさせた療育を行うことが多いです。

そして民間ではありますが、療育と言えば「LITALICO(リタリコ)」さんが有名です。リタリコさんは全国に教室を持ち、恐らく療育施設としてNo1と言っても良いのではないでしょうか。知名度も実績も抜群です。

通所には受給者証が必要

今紹介した療育センターに通うためには、市区町村が発行している「通所受給者証」と言うものが必要となります。この受給者証があれば、世帯所得によりますが多くのご家庭では自己負担1割程度の料金でサービスを受けることが出来るようになります。そのため療育施設に通わせる場合は、この通所受給者証がかなり重要となります。ちなみに民間企業のリタリコさんでは、受給者証を適用する通い方と、受給者証を持っていない方でも通える方法があります。ただ受給者証を持っていない場合、週1で教室に通うと月に10万前後かかる場合もありかなり高額になります。

受給者証はどうやってもらうの

通所受給者証は、医師などから療育の必要性を認めてもらい、市区町村に申請をするという流れが基本となります。この時にポイントとなるのは、グレーゾーンの子や経過観察中の子どもの場合でも、医師によっては「通所受給者証」の意見書を出してくれる場合があるという事です。ハッキリと発達障がいと診断されていない段階でも、通所受給者証を受け取ることができます。

そのため気になる方は、一度かかりつけのお医者さんに確認をしてみると良いと思います。

ちなみに受給者証は1年ごとの更新制になっていますので、更新が必要な場合は期間終了前に更新手続きをとる必要がありますのでご注意ください。

施設で療育を行うメリットとデメリット

施設での療育のおおよそのことがわかったと思いますので、ここからは施設で療育を行うメリットとデメリットをご紹介します。まずはメリットから。

  1. 適切なアプローチにより特性を抑えることが出来る
  2. トレーニングの様子を見ることで、保護者もアプローチ法を学べる
  3. 相談できる味方や共感できる仲間が出来る
  4. 子どもを客観的に見ることが出来る

このようなものがメリットでしょう。仲間が出来るというのは大きなメリットかもしれません。共感共有できるママ友がひとりいるだけでもお母様方の気持ちはだいぶ楽になることでしょう。

次にデメリットを紹介します。

  1. 希望日時に入れるかどうかは地域やタイミング次第
  2. 場合によっては高額な費用が掛かる
  3. 施設によっては粗悪なサービスを受けることになる可能性がある
  4. 一部の人から偏見の目で見られる可能性がある

デメリットに関しては一つずつ解説をしていきます。

希望日時に入れるかどうかは地域やタイミング次第

放課後デイも児童発達支援事業所には定員が決められているため、人気のある施設の場合は、待ちの状態になることがあるようです。そのためご自身の都合で考えていた第一希望の曜日・時間にスムーズに入れるかどうかは非常に微妙なところです。現在療育施設は増加傾向にあるため、次第に改善されていくとは思いますが、現状では思い通りに通所出来ないことが多いため、保護者の予定を変更するか、希望日時があくまで待つということがあるようです。

場合によっては高額な費用が掛かる

これは先ほども紹介したように、通所受給者証を持っているかどうかで変わります。持っていない場合は5万~10万という費用が掛かることがあり得ます。

施設によっては粗悪なサービスを受けることになる可能性がある

これは運次第としか言いようがないのですが、療育施設で何をどのくらいどのようにやるのかに関しては明確な決まりはないので、施設の考え方次第となります。そのため施設の考えと保護者の考えがずれていると通わせていてもあまり良い結果にはならないかもしれません。

また放課後デイや児童発達支援事業所では、助成金や補助金をうけて運営されている所がほとんどです。そのため、一部の施設ではサービスの質向上を目指さず、助成金や補助金を最大限受けられるように、ということに意識が向いている所もあります。このような施設には要注意です。

一部の人から偏見の目で見られる可能性がある

まだ発達障害の診断が出ていない状態の方の場合は、特にこのことに悩むかもしれません。「障がい者が通う施設に○○君が通っている」となると、保護者の中で変な話になってしまう場合もあるかもしれません。または子供同士でも偏見の目で見られ、いじられてしまうかもしれません。このことを恐れていては施設には通えない!と仰る方もいるでしょうが、保護者と子どもにはそういったリスクがあると知ることは大切です。そのうえでどう対処するか考えてくださいね。

自宅療育のメリットとデメリット

ここまでは施設で療育をすることについてお話をしてきましたが、ここからは自宅療育について簡単にお話しします。

そもそも療育を自宅で!?と驚かれている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私は断言しますが療育は自宅でも十分に実践可能です!冒頭の療育の種類で「ABA分析」「SST」「TEACCH」と言う言葉を紹介しました。この言葉だけを見るととてつもなく難しく感じますが、実態はそんなことはありません。専門の書籍を1,2冊読んだり、発達支援関連の資格を1つ勉強するだけで十分出来るようになります。そのためまず「自宅療育も可能なんだ」という選択肢を持ってくださいね。そのうえで、施設か自宅かを検討しましょう。

では自宅療育のメリットから紹介します。

  1. 定期的な費用が掛からない
  2. 子どもの送迎が不要である
  3. 子どもへのアプローチが次第にうまくなっていく
  4. 他者からの目線を気にしなくてよい

次にデメリットを紹介します。

  1. プロではないので、アプローチが正しいかどうかわかりにくい
  2. 保護者は最低限の勉強が必要になる
  3. 施設に比べ第三者との交流が出来ない
  4. 保護者の気持ちに共感できる仲間ができない

このようなものがあります。施設での療育か自宅での療育かに関しては、皆さんがどちらのメリットを望むのか。そしてどちらのデメリットの方が耐えられるのか。そこが重要になると思います。

【まとめ】発達障がい児の療育は施設で行うべき?それとも自宅で行うべき?

私個人の結論としては、両方やるべきだと思います。通所受給者証を持つことが出来れば、費用は最低限に抑えられるので通所したほうがいいと思います。しかし、それだけに留め自宅で何もやらないのは勿体ないですし、通所の効果がかなり薄れてしまいます。通所は施設の状況やその子の特性にもよりますが、週に1回や2回程度通うことになるでしょう。トレーニングをする時間は1回あたり1時間あるかないか程度でしょう。そうなると通所でプロが見てくれる時間は、1週間のうちたった数%の時間なんです。その他の時間は、学校や幼稚園に居るか、保護者といるか。少なくとも保護者といる時間の方が、施設にいる時間よりも長いわけですから、自宅でも1日10分程度でも良いので療育をしたほうが良いでしょう。

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