【セルフ療育】発達障害児の療育 ABA(応用行動分析)とは

療育とは、「障害のある子どもとその家族を援助しようとする努力のすべて」と言えます。発達障害の特性をもつ子供は、個性が非常に強いために、周囲と折り合いをつける事が難しい場合があります。それによって、孤立したり、誤解されたり。。。

このような事を防ぐために、適切な療育をしていく必要があります。

療育の定義は上記のように幅が広いため、ここでは代表的な療育方法である「ABA(応用行動分析)」について紹介していきます。

発達障害児の療育 ABA(応用行動分析)とは

ABA(応用行動分析)の説明に入る前に、療育についての基本的な要素を押さえておきましょう。

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療育はどこで受けることが出来るのか?

まず療育を受ける場所としては、お住まいの役所の福祉課や児童課、もしくは子育て支援センターや発達障碍者支援センターに問い合わせをしてみると良いでしょう。

各自治体が行っている者の場合は、無料である場合が多いです。

もちろん有料の施設も多くあります。有料の施設のメリットは、「療育」の要素だけでなく「社会で使えるスキル」も同時に見つけることが出来る点です。この辺りは、お子さんの状況によって使い分けましょう。

成長に合わせて療育内容を選びましょう!

療育施設に通うペースや時間、内容に関しては、一概にどれが良いと言う事はありません。あくまでも個々人のレベルや状況によって柔軟に変えるようにしましょう。

また個人レッスンの所と、集団レッスンの所も分かれます。

この選択も、子供さんの特性を見たうえで決定すると良いでしょう。このあたりの相談も先ほど紹介した自治体のサービスで受けられるはずですので、一度相談してみると安心できるのではないでしょうか。

ABA(応用行動分析)とはどのようなものか?

ABAは、その子の行動をよく観察し、行動の前後を操作することにより、良い行動を増やしたり、悪い行動を減らしたり出来るという原理を利用したものです。発達障害児の早期療育に使用されることが多いです。ABAを行うことで、言語能力の向上、社会性の向上、小学校普通学級への入学率の上昇など、その高い効果が繰り返し示されておりアメリカでは自閉症児の療育法として多くの州で保険適用もされています。アメリカの心理学者スキナーの行動主義の理論に基づいたものです。

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ABA(応用行動分析)の行動主義とはどういったもの?

行動主義は、心理学のアプローチのひとつです。人の内面世界は他の人には決して見えません。周りの人が見ることが出来るのは、内面世界ではなく、その人の「行動」です。

そこで子供が起こす「行動」と「変化」に着目をします。

ある行動の背景(きっかけとなること)をよく観察し、その行動を引き出す環境やかかわり方を変化させていくのです。

人間が習慣にする時もそうですが、人は嬉しいことはもう一度やろう!と思います。しかし、つまらないことは徐々にやらなくなってしまいます。ダイエットや読書、勉強なんかがそうかもしれませんね。

ABA(応用行動分析)では、子供が好ましくない行動を繰り返すと言う事は、その問題行動を起こすことがその子にとって、好ましいことになってしまったと判断します。

物凄く簡単な例を挙げると、「嘘をつく」という行為をした時に、それで怒られるという難を逃れた!という経験を何度かしたとします。するとその子にとっては、嘘をつくことは好ましいことになり、平気でうそをつく子供になってしまうということ。

ABA(応用行動分析)というと難しく聞こえますが、このようなものです。実は皆さんも子供をしつけるときに当たり前のようにやってきましたよね。

「嘘はダメ!」「人をたたいてはダメ」「ものを勝手にとってはダメ」このように教え込み、子供は「これをやると、またお母さんに怒られるからやめておこう」と思うでしょう。そうしてある意味、社会性を養っていきます。

これとABA(応用行動分析)は似ています。

ABA(応用行動分析)の実践方法

ではもう少し実践的な解説をしていきます。ABA(応用行動分析)の基本的な流れは下記のような形です。

  1. 行動の前のきっかけが発生する
  2. その時、どう行動するかよく観察する
  3. 行動を誉めるもしくは無視する

たったこの3ステップです。

これを普段の生活で起こりえる事例で紹介していきます。

  1. 大切なおもちゃを落として壊してしまった
  2. 反省しながら、お母さんに素直に伝えた
  3. お母さんは素直に言えたことを誉める

この行動をするととで、「嘘をつかず素直に伝える」という行動が増えることになります。なぜなら、お母さんが誉めてくれたからです。お母さんの誉め言葉は、子供にとって「正解だよ」というメッセージであると分かりますね。

逆に悪いパターンも紹介しておきます。

  1. 大切なおもちゃを落として壊してしまった
  2. 弟のせいだと嘘をお母さんについた
  3. お母さんはその嘘や弁明を無視する

このようにすることで、「嘘をつく」という行動が減ることになります。なぜならお母さんに無視されることは子供にとって「嫌なこと」だからです。

ABA(応用行動分析)とは意外と簡単なのです!

ただし、気を付けるべきことがあります!

それは「子供が注目を浴びたいがために悪い行動をする」と言う事もあることを知ることです。子供が悪いことをした時は「強烈に叱る」のではなく、「無視する」ことも大切なのです。

当然人の命にかかわるような事であれば、話は別ですが、そういったことは稀でしょう。

多少のことであれば、叱るという行動よりも、無視の方が良いこともあります。

この辺りはお子さんの様子をしっかりと観察して、自分に注目されたいがためにわざとやってきているのかどうなのかを判断しましょう。

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療育は家庭でも可能!?そのために支援の資格を取るのもオススメ

療育の内実をみていくと、「あれ?自分でもできそうなんだけど」と思われるものが多いかもしれません。そうなんです。その通りです。実は私は病院や施設に行っての療育よりも、家庭でのセルフ療育の方がよいと思っています。

なぜかというと、病院や施設での療育はどうしても子供自身が「発達障害」というレッテルを貼りやすくなり自己肯定感が低下しやすくなると思うからです。

家庭で療育が出来ればそれに越したことはありません。しかし家庭でやるという場合はやはり正しい知識が必要です。発達障害の特性をしっかりと理解したうえで、療育を学ぶ。さらには子供のやる気や能力を引き出すアプローチ法を学ぶ必要があります。大変かもしれませんが、私はこれが一番お勧めです。保護者が子供の能力を引き出す術を身につけていれば、発達障害の有無にかかわらず役立ちますし、なにより保護者自身が子供との時間を楽しめます。知識がなく思い通りに行かないとストレスが溜まりますよね。そういった意味で自身で知識をつけるというのもいいのではないでしょうか?

その際、どの資格がよいかというと別記事でも紹介している「児童発達支援士」がお勧めです。詳細は下記のリンクから確認してみてください(^_-)-☆

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外部リンク
発達障害児支援の人気資格|児童発達支援士公式サイト

【まとめ】発達障害児の療育 ABA(応用行動分析)とは

いかがでしたか?

言葉で聴いた時には、難しそう・・・と思われた方も、詳細を知るとシンプルで普段やっていた!という方も多いのではないでしょうか。

そうなんです、発達障害児の療育と言っても、特別なことは無いのです。1歳から3歳の間に子どもにしつけをするような内容と方法をとって、少しずつ理解させるというものなんです。

「なぜこんなことも理解できないの?」そう感じてしまうこともあるかもしれません。一番大変なのは、保護者のメンタル管理です。何度も同じことを言わなければならない。小学校高学年なのに、言われていることが幼稚園生と同じとなると、気持ち的に萎えてしまうものです。

そういう時は無理をせず、冒頭でも紹介した、自治体のサービスや有料の施設を利用されると良いでしょう。一人で、育てなければいけない!と思い込むことはやめましょう。人に頼っても良いのです。それは逃げではありませんから。