障害を持つからこそ気持ちを伝える手段を身に付けよう!

発達障害・身体障害・知的障害など障害を持っている方は、どうしても他者とコミュニケーションを取ることに対して後ろ向きな気持ちで、人間関係の構築などに難しさを覚える方が多くいらっしゃいます。それには過去の経験から自分の気持ちを伝えるのが怖かったり、自分の特性を他者に知られることが怖かったりと様々な理由があるかと思います。

ですが、幼稚園や学校、仕事に就いたりと様々な場面で他者とコミュニケーションを取る場面があり、決して無くすことはできないものです。その時に、自分の特性を他者に伝えて理解してもらうことで困難さを少しでも減らすことができるのではないでしょうか。今回は自分のことを伝える手段やコミュニケーションに対しての考え方などをご紹介します。

相手に自分のことを伝えるためには

一度苦手意識を持ってしまうと、自分のことを相手に伝えることは中々難しいことに感じてしまいます。例えば自己紹介の時に「何を話せばいいのか分からない」「どうやって伝えればいいのか分からない・・・」などの不安などで、伝えることができないということがあります。その場合は、自己紹介をするための「台本」を先に考えておくと自己紹介の時に詰まることが減らせるかもしれません!

例えば、以下のようにまとめてみましょう。

  • 名前
  • 障害の特性
  • 何が出来て、何が出来ないのか
  • 症状が出た場合はどうするのか

このように事前に準備をしておくことで、先程あった不安が少し軽減されます。話す内容を決めたら次は、名前が山田太郎さんなら「私の名前は山田太郎です」という形で話し言葉に変換をして読む練習をしていきましょう。また、この自己紹介の台本を作る時には本人1人で考える必要はありません。親御さんやお世話になっている医師や療育施設のスタッフなど、相談しやすい方ですでに自分の状況を理解してくれてる人と一緒に作っていくのも良いでしょう。台本を作っていく中で自分は何が出来て何が出来ないのか、得意なこと不得意なことなど自分のことを更に理解していくきっかけにもなります。台本を作ったら何度も何度も繰り返して練習をして暗記しておくと、実際の場面になった時に焦らずに喋る手助けになります。少ない回数で覚えようとすると、台本を覚えられない・・・とネガティブな気持ちになりかねません。焦らずに練習を繰り返して、少しずつ覚えていくようにしましょう。

また、暗記が難しい場合は自己紹介をまとめた紙を持っていても構わないでしょう。出来ることを無理のない範囲で行うことが大切です。無理をして行おうとすると、そこにストレスを感じ始めて、「嫌なこと」だと感じてしまうこともあります。

コミュニケーションは「楽しいもの」だと思わせる

障害をきっかけとして、友人関係でのトラブルや話し方や特性をいじられたり、嫌がらせやいじめなどを受けた結果「他者とのコミュニケーションは嫌なもの」だと認識している方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。私も過去にいじめられた経験や特性をいじられ続け、不登校、引きこもりになった時期がありました。この時期は、誰も自分のことを分かってくれないし、言ってもそれを揶揄われるだけで嫌だ・・・と悩み続け苦しい日々でした。学校を卒業しても誰かとコミュニケーションを取るのは嫌だとずっと思っていました。

ですが、今はそれほどコミュニケーションを嫌なものだと思ってはいません。それは「自分の話を聴いて受け入れてくれる人」の存在がとても大きかったです。

自分は話すのがまったく上手ではないですし、言葉に詰まることもあります。ですが、それを指摘することもなく、話の先回りをして「こういうこと?」と言うわけでもなく、ただ「話を聴いて受け入れてくれる」これだけで話すことがとても楽しいと感じました。

そのため相手の話を深く聴き、言葉以外の話し方や表情、姿勢、仕草などを観察し、相手が言いたいことを理解しようとすることが大切です。これを「傾聴」といいます。この傾聴を意識して、続けていくことでコミュニケーションに対しての嫌悪感を減らし、少しずつ会話ができるようになったら、様々な人と会話をする環境で1つずつ成功体験を積み重ねていくのが良いでしょう。

話を聴く姿勢については下記の記事にて紹介していますので、ご覧ください!

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【傾聴力UP】相手に勘違いをさせない話の聴き方とは?

相手のことを知ることも大切

一方的にこちらのことを知ってもらうだけではなく、相手のことを知ることも同時に大切になってきます。

相手のことを知ることで、お互いの価値観などに対しての理解が深まりコミュニケーションが段々と広がっていきます。お互いに相手のことを理解することで、この人は自分のことを分かってくれているし、自分も相手のことを分かっているという安心感や相手との信頼感が徐々に強まっていきます。相手のことを知るためにも、障害を持つ人にも「傾聴」のスキルが必要になってきます。ぜひ普段の生活から意識して実践を繰り返し傾聴の練習をしていきましょう。

自分の気持ちを理解するために

ASD(自閉スペクトラム症)の特性によく見られる傾向として、相手の気持ちや感情を察することが苦手、そして自分のことや感情にも気付きにくい傾向が見られます。自分の気持ちが分からないがゆえに、癇癪を起こしてしまったり、周囲に誤解されてトラブルの原因になったり、嫌だと感じていることを溜めこんで辛くなってしまい体調が悪くなったりしてしまいます。

まずは自分の気持ちに気付いて自分を理解することが大切です。この時は焦らずに、ゆっくりと頭の中で整理してみましょう。もちろんメモ帳などに書き出しても構いません。どんな出来事があって、嬉しかった、嫌だと思ったと整理できていくと良いですね!感情を知識として教えるためには表情カードなどを使ってもいいでしょう。笑顔の表情カードを見て「嬉しい」、泣いている表情カードは「悲しい」と結び付けていくことで、自分の感情を整理して理解していきましょう。

そして感情が分かったら、様々な表情カードを用意してクイズ形式でこの人はどんな気持ちかな?と当てるゲームをすることで、楽しみながら相手の感情を理解する練習もできます。この時にはイラストだけではなく、実在する人物の写真を使った表情を用意すると更に良いでしょう。インターネットで検索すると感情に合わせた表情の写真が色々出てきますので、こちらを使って練習してみるのも良いですね!

頑張りすぎには注意を!

これは特に発達障害などの特性を持つ方にあてはまりやすいですが、物事に対して注意が逸れやすい面がありますが、逆に自分の興味のあることに対しては過度に集中してしまい疲れやすいことがあります。コミュニケーションを取る練習をして、前より少し上手に喋れるようになった。という良い結果から楽しくなり、つい集中しすぎて次の日に疲労感から同じことが出来なくなってしまうことがあります。

出来なかったということに注目してしまうと、駄目だった、やはり出来ないんだという負の経験と感じてしまい、自己肯定感の低下に繋がる可能性があります。出来ない時には無理をせずに休憩を入れて、出来ないことに注目はしないようにしましょう。やろうとしてる姿勢はとても素晴らしいですが、頑張りすぎて「失敗した」と感じないようにしましょう。

【まとめ】障害を持つからこそ自分のことを伝える手段を身に付けよう!

ここまで自分のことを伝える手段や感情を理解する練習などを紹介してきました。

自分のことや気持ちを伝えるのはとても怖いですし、勇気が要ることです。ですが、伝えてみると自分が思ってたより嫌がられたり迷惑だと言われたりすることは少なかったです。もちろん全く無いとは言いませんが、それでも先に伝えておくことができればその後に何かあっても精神的な負荷は大分少なくなります。

焦らずに少しずつ、自分のことを伝えられるように練習していきましょう!

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