発達障害児の早期療育を行うメリットと注意点とは

こんにちは、今回は発達障害児の早期療育についてのお話をしていこうと思います。この点は意見が真っ二つに分かれる部分だと思いますが、非常に重要な点でもあるのでご紹介していきます。以前「発達障害児の療育はほとんどが間違っている?ここをチェック!」という記事を書いたことがありますが、今回は早期療育の是非という事でお話をしていきます。ちなみに私がここでお話しする早期療育というのは、幼児期である3歳、4歳、5歳程度であると理解してください。

早期療育を行うメリットとは

まずはわたしの立ち位置をご紹介しましょう。私は基本的には、早期療育には賛成です。ただ無条件で絶対にやったほうがいい!とにかく早い方がいい!というつもりは一切ありません。私の認識としては、

「保護者がしっかりとした認識を持っているのであれば早期療育は行うべきだ」

というスタンスになります。そのため今回のこの記事になったわけです。ではまず早期療育のメリットを紹介します。その後に注意点についてもご紹介しますので、是非最後までご覧ください。

保護者のメンタルを守る

他にも早期療育のメリットを紹介しているサイトはいくつかあると思いますが、この項目を真っ先に挙げているサイトはほとんどないでしょう。でも私は、子育てをするうえで保護者のメンタルが安定しているかどうかという事は、非常に大切だと考えています。どのような手法やアプローチ方法を学んだとしても、保護者のメンタルが不安定だとしたら、その知識は全て意味のないものになります。そういったことからこの点を真っ先にあげさせていただきました。

では、早期療育をすることでなぜ保護者のメンタルを守ることができるのかですが、ここは賛否両論あると覚悟しています。「発達障害と診断がくだったほうが気が楽」という人と「受け入れることができず悩んでしまう」という2パターンに分かれるでしょう。これは間違いありません。我が子が発達障害とわかり葛藤のない保護者などいませんから当然です。

しかし、多くの保護者がどこかのタイミングで受け入れるのです。いや、受け入れるしかなくなるのです。そしてその時には「診断が出て、自分が悪かったわけじゃないと思えました」という感情に繋がることが非常に多いのです。これまで何百名もの発達障害児の保護者とお話をしてきて、多くの方がこういう感情の流れを辿っています。

  1. 我が子に障害を疑う
  2. 絶対に受け入れられない
  3. ストレスや不安が蓄積していく
  4. 病院で診断がくだる
  5. 少しホッとした気持ちになる
  6. 前向きに出来ることを考える

つまり、最終的に前向きに考えるようになるのであれば、なるべく早くその段階に行った方が良いと思いませんか?例えば、②や③の状態でずっととどまっていたとしたら、保護者のストレスは凄いことになるでしょう。もちろんその影響は子供にも、ご家族にも出てしまうことでしょう。そうやって家族という形を維持できなくなった方を私は何名か見てきました。

それが悪いとは言いませんが、適切な対処をすることは重要です。子供にとってお母さん、お父さんはあなただけなのですから!

子どもの二次障害を防げる

次に来るのは、子どもの二次障害を防ぐことができるというメリットです。発達障害児の子育てをしていると絶対的にテーマとして挙がってくるのが、この二次障害についてです。発達障害は知的な遅れはありませんから、悩むとすると日常生活の困難さや友達関係の困難さなのです。特に友達関係をうまく築くことができないと子供にとってストレスがとても大きくなってしまいます。それが二次障害である引きこもりや不登校に繋がっていくのです。

しかし、早期療育をすることでこの点を防げる可能性は高くなります。

療育の中に、ソーシャルスキルトレーニング(SST)というものがあります。これは社会生活を送る際に必要となるスキルをトレーニングするというものです。簡単なところだと挨拶の練習や自己紹介などの練習もそれにあたります。友達とのトラブルもちょっとしたことで発生してしまいます。嘘をついた、約束を破った、無視をした等。でもこの多くは「勘違い」であることが多いのです。無視をするつもりで無視をしたわけじゃないのに、挨拶をしてもいつも返事をしてこなかったら相手としたら「無視された」と思うのも無理はありません。

こういったトレーニングをSSTで出来るので、友達間のトラブルは減らすことができるでしょう。二次障害に一度なってしまうとそこから脱却することが難しくなりますし、一度脱却しても再度そこに戻ってきてしまうことが多くなると言います。そのためにも早期療育はするべきだと言えるでしょう。

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子どもと保護者のストレス軽減

最初の項目に似ているのですが、こちらは日常的なやり取りがスムーズになるため、日々のストレスが軽減するという意味合いになります。

発達障害の早期療育をおこなったり、保護者が知識を蓄えることをしない場合は、いわゆる根性論で子供に接してしまうことが多くなります。しかし発達障害は脳の障害であるため、出来ないものは出来ないこともあるのです。それを根性論で怒鳴り散らしてしまっては、子供のストレスはとてつもなく大きくなります。当然怒鳴っている保護者側のストレスも相当なものになるのは想像できるでしょう。

しかし、我が子は発達障害でこういう特性がある。という事がわかれば、それに合った接し方が出来るはずです。出来ないことに対しても「怠けている」と思えばイライラしますが「これも特性か」と思えばイライラしないでしょう。このようにして子供と保護者両者のストレスは軽減すると考えられます。

そのために保護者は自分自身で発達障害の知識をしっかりと蓄えることを怠らないようにしましょう。早期療育というと療育施設に早いうちから入れて、病院に通えばいいでしょ?と思う方もいるかもしれません。しかしそれは半分正解で半分不正解です。子供と一番時間を過ごすのは保護者です。特に幼少期は保護者との時間が圧倒的に多いのです。そのため保護者が特性をしっかり理解することや、教育的観点からアプローチ法をみいだしていくことはとても大切だと言えます。

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早期療育をするうえで気を付けるポイントは

ここまでは早期療育を行う際のメリットをご紹介してきました。最後に早期療育をするうえで気を付けるべきポイントを紹介します。最初に私は自分のスタンスをこう伝えました。

「保護者がしっかりとした認識を持っているのであれば早期療育は行うべきだ」

ここでいう「しっかりとした認識」というのは、この注意点を理解しているかどうかという点です。ここを理解しているのであれば早期療育はすべきです。逆にここが理解できないのであれば、早期療育はしない方が良いでしょう。それくらい大切なポイントだと思います。

早期に「障害者」のレッテルを貼らないこと

子どもにとって、障害者という言葉はインパクトがあります。自分が「障害者」と言われて、何とも思わない子はいないでしょう。発達障害児は知的な遅れはありませんから、そういうことの理解はできます。むしろ敏感すぎる点もあります。

そのため病院や療育施設に行く際には、「○○にはこういう特性があって、それを変えていくともっと楽しくなるからそのためのお教室にいこうね」という表現に留めるなどの工夫が必要です。ただ小学校に入って、さまざまなことを理解できるようになったら「発達障害」という事を伝えても良いでしょう。そこまでの関係性がしっかりと築けていれば問題なく受け入れることができるでしょう。関係性がうまく築けていないと大反発があるかもしれません。これはタイミングやいい方の問題もありますが、一番はそれまでに築き上げてきた関係性が良くないことが原因です。どのようにして関係性を築いていけばよいかを保護者が学ぶためにも、病院や療育施設、資格学習などをやっておくべきだと思います。

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障害者として対応しないこと

ここも非常に重要です。この項目はどちらかというと保護者の意識の問題です。保護者の中で「この子は障害者だから」という事で子育てをすると、過保護になったり、過干渉になったりします。子育てにおいてこの過保護・過干渉は非常に悪いものです。障碍者だからとその子にとっての試練をすべて取り除いたり、経験させるべきことを経験させなかったりすると、大人になってからが大変です。

子どもの自己肯定感は、自分自身で「出来た!!」と思える経験をどれだけしているかで決まると言っても過言ではありません。それなのに、過保護・過干渉の元育つと自己肯定感が育たないことがわかるでしょう。いくら保護者から優しく声を掛けられても自分で何もできない子の場合は、いつかは出来ない自分に苦しみます。なぜなら保護者は24時間365日子供と一緒にいるわけではないからです。

そのため保護者のスタンスとしては「障害のことをしっかりと理解し、特性を見極めることは絶対に必要。だからと言って、すべてを保護者がやってあげたり、甘やかすという事とは違う!」という事を理解しておくべきでしょう。

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【まとめ】発達障害児の早期療育を行うメリットと注意点とは

いかがだったでしょうか?今回のまとめとしては、

「障害のことをしっかりと理解し、特性を見極めることは絶対に必要。だからと言って、すべてを保護者がやってあげたり、甘やかすという事とは違う!」

このことを理解しているのであれば、早期療育は積極的に行うべきだと思うという事になります。もちろん考え方は様々です。しかし早期療育をすることでその後の子供の発育に影響が出るという研究結果が出始めています。そのため、さまざまな情報を収集して早期療育に踏み切るかどうかを是非検討してみると良いでしょう。

全ては可愛い我が子のためです。その想いがあれば、いずれの道を選んでもきっと最善の道に繋がることでしょう。