発達障害児は今すぐ非認知能力を高めるべき理由

人間には認知能力と非認知能力があります。非認知能力とは一体どのようなものかご存じでしょうか?そしてその非認知能力を高めることがなぜ重要なのかについて解説をしていきます。

発達障害児は今すぐ非認知能力を高めるべき理由

まず最初に非認知能力とは何ぞや?というところを明確にしていきましょう。

人間の能力には、「認知能力」と「非認知能力」があります。

認知能力とは、数をかぞえたり、文字をかく、計算をする、地名を覚えるといったことのことです。いわゆるIQ・記憶力が認知能力と言います。

それに対して、非認知能力とは、測ることができない内面的な能力のことを言います。具体的には、社交性・忍耐力・自尊心・主体性・やり抜く力・協調性などです。

これが大まかな定義となります。今まで学校では目に見える(測ることができる)「認知能力」ばかりを評価していきました。今までと書きましたが、今後も主流はそのまま行くでしょう。しかし、国が2020年の教育改革で、非認知能力も評価対象に積極的に入れていくと発表されています。

なぜこうなったか。それは日本が戦後行ってきた教育によって、日本が衰退したからです。その教育法とは認知能力だけをとい、テストができる子がいい大学、大企業につくというもの。その結果が今の日本です。決してこのままでOKとは思えません。

非認知能力を伸ばすと将来幸せになる

これは2000年にノーベル賞を受賞したヘックマン博士が発表したものです。アメリカは世界一という地位を守るため、国の中枢機関に有能な人間を採用するために、成績優秀者を追跡していました。しかし、数十年にわたる調査であることが分かったのです。

それが、認知能力が高い人間よりも、非認知能力が高い人間のほうが将来的に幸せになっているということ。幸せという基準の中には、地位、名誉、収入、離婚歴等いくつもの基準があります。

またヘックマン博士は書籍の中でこうも述べています。

二つの重要なポイントがある。

第一に、就学前教育がその後の人生に大きな影響を与えることを明らかにした事である。

第二に、就学前で重要なのは、IQに代表される認知能力だけでなく、忍耐力、協調性、計画力といった非認知能力も重要だということである。

「幼児教育の経済学」p.110より引用

つまり小学校に上がる前、園児までのタイミングで非認知能力を上げておくことが非常に重要だと。ここで非認知能力を上げておければ、その後認知能力も上がっていくとも言われています。

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なぜ発達障害児にとって、非認知能力が大切か

非認知能力の重要性はご理解いただけたかと思います。次はなぜ発達障害児にとって大切かというお話です。

とそのまえに、非認知能力は発達障害児だろうがそうでなかろうが、全子供たちにとって重要だということなので、そこの認識を間違えないでくださいね。

発達障害児の弱みをカバーする

発達障害児には、人の気持ちが読みにくい、他者と交流を持ちにくいというコミュニケーションの部分での苦手がある場合が多いです。この弱みの部分に関しては、早い段階で、意識(スイッチ)を変える必要があります。

小学校高学年にもなると、人間関係=面倒なこととなり、消極的になります。その前に人間関係=楽しいこととなるように、苦手からもたらされる失敗体験を減らす必要があります。

そこでコミュニケーション教室や療育教室に通うという選択肢を検討してください。そういった教室では、「シチュエーショントレーニング」がある場合が多いです。身近なシチュエーションを例にとって、その時の対応方法を練習する。発達障害児も、ケースごとの臨機応変さに対応するのが大変なだけで、練習すれば改善・対応可能です。

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発達障害児の強みを発揮できる

ここが一番大切です。発達障害児の特性を生かしましょう。非認知能力のなかに「やり抜く力」というものがあります。ここは発達障害児にとって、最高の武器になる可能性がある分野です。

当然、興味のないことに対しては、そっぽを向いてしまうでしょう。しかし、ひとたび興味を示したらどうでしょうか?親御さんもびっくりするほど、継続していくことができるし、継続した先にそれは凄いスケールのものを作り上げていることがありませんか?

これは発達障害児の興味のベクトルが一方にしか向かないということ。気持ちの切り替えが苦手で、気が済むまでやり続ける。という2つの特性が活きています!

今の時代を生きていると、「あー、私もちょっとずつでもいいから継続していれば・・・」このように感じたことってありませんか?ブログ、ダイエット、スポーツ、勉強、youtubeの投稿、自己啓発などなど。

メジャーリーグでも大活躍したイチロー選手を見てみましょう。40歳を超えてもなお、素振り・グローブ磨き・柔軟体操・体のケアを毎日徹底。自分の体調を知るために毎日同じカレーを食べる。これって興味のベクトルが野球にむいたからこそできた偉業でしょう。私など、到底出来そうにないです。

一芸に秀でる。一芸があれば有名大学にも入れる。有名企業にも入れます。それがステータスとは思いませんが、そうなれば人生の可能性は広がることは間違いありません。

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発達障害児の非認知能力を高める簡単な方法

様々な方法論がありますが、私が一番お勧めするのは「5感を刺激される場所に複数名でいき、思いっきり遊ぶこと」です。凄くシンプルですよね。「自然の中での自然な学び」ほど実り多きものはありません。友達家族と一緒にキャンプにいく、川遊びにいく。このあたりが理想ですね。友達とゲームをしていても、そこで非認知能力が高まることはありません。自然な形で他者と交流できる環境こそベストです。

ただ、だからと言ってこれが皆出来るかと言われればそうではないでしょう。アウトドアが苦手な親御さんもいらっしゃるでしょうし、都会に住んでいるとなかなか難しい。またはシンママさんの場合も、そう簡単にはできないでしょう。

その場合は、やはり療育教室や非認知能力を高めてくれる教室に通わせることをお勧めします。非認知能力の教育に必要になるのは、「他者」です。他者とのコミュニケーションを通じて非認知能力を学びます。ただ学校がその環境になりにくいのは、どうしても評価基準が認知能力であるがため、子供の中にも「優秀な子」「そうじゃない子」というヒエラルキーが出来てしまうからです。