「もうすぐ2歳なのに、ほとんど言葉が出ない」「単語は言えるけど、二語文が出てこない」「周りの子と比べて、明らかに言葉が遅れている」など、言葉の発達で不安を感じていませんか?
発達障害のある子どもの中には、言葉の発達がゆっくりだったり、なかなか言葉が出なかったりする子も少なくありません。でも、言葉が遅いからといって将来も話せないわけではないんです。適切な関わり方と環境があれば、子どものペースで言葉は育っていきます。この記事では、家庭でできる言葉を引き出す具体的な方法を中心に、保護者の方が知っておきたい情報をご紹介していきますね。
発達障害と言葉の遅れ【基礎理解】
言葉の発達をサポートする前に、まずは発達障害と言葉の遅れの関係を理解しておきましょう。なぜ言葉が遅れるのか、どんなサインに気をつければいいのか。基礎知識を持つことで、その子に合った支援ができるようになっていきます。
ASD・ADHDと言語発達の特徴
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは、言葉の発達が遅れることが多いと言われています。コミュニケーションそのものへの関心が薄い、言葉の意味を理解するのが難しい、音への過敏性があって話すこと自体に抵抗があるなど、その子によって背景は異なります。また、お子さんによってはエコラリア(オウム返し)が見られることもあります。相手の言った言葉をそのまま繰り返す、テレビのセリフをそのまま言うなどの行為です。マイナスなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、言葉を学んでいる過程の一つなんです。
ADHD(注意欠如多動症)のある子どもは、言葉自体は出ていても、話し方に特徴が見られることがあります。話があちこちに飛ぶ、思いついたことをすぐに口に出してしまう、相手の話を最後まで聞かずに話し始めるなど、言葉の量は多くてもコミュニケーションとしては課題があることが挙げられます。
ただし、発達障害があるからといって、必ず言葉が遅れるわけではありません。言葉の発達は個人差が大きく、その子なりのペースがあることを理解しておきましょう。
発達の目安と相談のタイミング(H3)
言葉の発達には一般的な目安があります。1歳頃には意味のある単語が出始め、1歳半頃には5〜10語程度、2歳頃には50語程度の単語と二語文が出始める、3歳頃には三語文以上の文章で話す——これが大まかな目安です。
でも、これはあくまで目安であって、少し遅れているからといって必ずしも問題があるわけではありません。最終的には追いつく子どももたくさんいます。
気をつけたいサイン
・1歳半で意味のある言葉が全く出ない
・2歳で単語が10語未満、3歳で二語文が出ない
・言葉が出ていたのに消えた(言葉の後退)
・名前を呼んでも反応しない
・視線が合いにくい
上記のような場合には、早めに専門家に相談することをおすすめします。
相談先としては、市区町村の保健センター、児童発達支援センター、小児科、言語聴覚士のいる療育施設などがあります。「こんなことで相談していいのかな」と迷わず、気になったら相談してみてください。早期支援には大きなメリットがあり、言語発達は早い時期ほど伸びやすいんです。
言葉を引き出す家庭での実践法【段階別】
言葉の発達を促すために、家庭でできることはたくさんあります。子どもの発達段階に応じて、適切なサポートをしていきましょう。
基本的な関わり方と効果的な遊び
言葉を引き出すために最も大切なのは、楽しいやりとりです。
まず初めに大切なことは、子どもの興味に合わせることが基本です。子どもが見ているもの、触っているもの、興味を示しているものについて、言葉をかけてあげましょう。
(例:「ブーブー、走ってるね」「わんわん、かわいいね」など)
実況中継のように話しかける方法も効果的です。「積み木を積んでるね」「ボールを転がしたね」——など行動と言葉を結びつけることで、言葉の理解が深まります。ゆっくり、はっきり、短く話すことも大切。早口でまくし立てたり、長い文章で話したりすると理解できないことも多いんです。
また、お子さんが何か伝えようとしている時は、待ってあげることも重要です。すぐに先回りして答えを言ってしまわず、お子さんが自分で表現しようとする時間を与えましょう。この「待つ」ことが言葉を引き出すコツの1つなんです。
言葉が出ない段階:コミュニケーションの基礎づくり
言葉がまだ出ていない段階では、言葉の前の段階——コミュニケーションの基礎を育てることが大切です。
視線を合わせる練習
子どもの目線の高さに合わせて、顔を見て話しかけてみます。視線が合いにくい場合は、無理に目を合わせさせる必要はありません。顔の方を向いてくれるだけでも十分です。
指さし
言葉の前段階として重要なコミュニケーション手段。保護者の方が積極的に指さしをして見せましょう。
(例:「あ、わんわんだね」と言いながら犬を指さすなど)
ジェスチャー
「バイバイ」で手を振る、「ちょうだい」で手を出すなど、身振り手振りでのコミュニケーションは言葉の橋渡しになります。
お子さんの発声を真似する
「あー」と言ったら「あー」と返すなど、音のキャッチボールを楽しんでみましょう。「自分が出した音に反応してもらえた」という喜びを感じ、もっと声を出したくなります。ただし、焦って「ほら、言ってみて」と促すのは逆効果になることも。無理に言わせようとすると、話すことを嫌がってしまうこともあるので注意しましょう。
単語から二語文・文章へのステップアップ
「まんま」「ブーブー」など、いくつか単語が出始めたら、次は語彙を増やし、二語文、文章へと進んでいきます。
使った言葉を広げて返す
子どもが「ブーブ」と言ったら、「そうだね、ブーブだね。赤いブーブだね」と返します。一語を二語、三語に広げて返すことで、自然に語彙が増えていきます。
名詞だけでなく、動詞や形容詞を使う
「りんご」だけでなく「りんご、食べる」「赤いりんご」というように。また、「わんわん」「ごろごろ」「ぴょんぴょん」などの擬音語・擬態語も、子どもが覚えやすい言葉です。音に楽しさがあったりするので、真似しやすくなります。
保護者の方が二語文で話しかける
子どもが「ジュース」と言ったら、「ジュース 飲む?」と二語文で返す。「くつ」と言ったら、「くつ はく?」と返すなど、子どもの一語に、もう一語を足してみましょう。また、三語文、四語文と長くなっていく時期には、質問形で引き出す方法も使えます。「今日、何した?」という質問に対して、「公園」とだけ答えたら、「公園で何したの?」と続けて聞く。「ブランコ」と答えたら、「公園でブランコしたんだね」と文章にして返してあげます。
ポイントとして、この段階では子どもの話を最後まで聞くことが特に大切です。うまく言葉にできなくても、待ってあげる。また、間違いを気にしすぎないことも重要です。助詞が抜けていたり、順番が違ったりしても、意味が通じていれば大丈夫。細かい文法は、たくさん話す中で自然に身についていくので、気にしないようにしましょう。
専門的支援の活用と継続的サポート
家庭での関わりに加えて、専門家の力を借りることで、より効果的に言語発達をサポートできます。また、言葉だけがコミュニケーション手段ではないことも理解しておきましょう。
言語聴覚士など専門家との連携
言葉の発達に関する専門家として、言語聴覚士(ST)がいます。言語聴覚士は、お子さんの言語発達を評価し、適切な訓練や助言をしてくれます。
言語聴覚士による支援を受けられる場所としては、児童発達支援センター、療育施設、小児リハビリテーション施設、病院などがあります。お住まいの自治体の保健センターや、発達支援センターに問い合わせれば利用できる施設の情報が得られます。また、言語聴覚士による訓練では、発達段階に応じた個別のプログラムが組まれます。遊びを通じて楽しみながら、発声練習、語彙を増やす活動、文章を作る練習などが行われます。他にも家庭でどんな関わりをすればいいか、具体的なアドバイスをもらうこともできます。
言葉以外のコミュニケーション手段と焦らない姿勢
言葉が出にくい子どもにとって、言葉以外のコミュニケーション手段を持つことはとても重要です。これらは言葉の発達を妨げるものではなく、むしろコミュニケーションの成功体験を積むことで、言葉への意欲を高めることもあるんです。
絵カード
視覚的に意思を伝える方法。食べ物、飲み物、遊び、場所などの絵カードを用意して、欲しいものを指さして伝えられるようにします。市販のものもありますし、写真を使って手作りすることもできますよ。また、PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)は、絵カードを使った体系的な方法です。専門家の指導のもとで実施するのが理想的ですが、基本的な考え方を家庭に取り入れることもできます。
サイン(手話)
日本の手話を全て覚える必要はなく、「食べる」「飲む」「もっと」「おしまい」など、日常でよく使う数個のサインだけでも十分です。手の動きは視覚的にわかりやすく、お子さんも真似しやすいんです。
これらの代替手段を使うことで、「伝わった」という成功体験を積めます。結果コミュニケーションの楽しさを知ることで、言葉でも伝えたいという意欲が育つことも多いんです。
そして最後に、最も大切なことは、焦らず、その子のペースを尊重するということです。言葉の発達は、本当に個人差が大きいんです。早く話し始める子もいれば、ゆっくりの子もいる。でも、ゆっくりだからといって、将来困るとは限りません。
他の子と比べて焦る気持ちはよくわかります。でも、比較や焦りは禁物です。時間と共にその子なりのペースで成長しています。昨日より今日、先月より今月——と周りではなくその子の過去と比べて、成長を見つけてあげてください。
まとめ:言葉は子どものペースで育つ
発達障害のある子どもの言葉の遅れは、多くの保護者の方が悩むポイントです。でも、適切な関わりと環境があれば言葉は確実に育っていきます。
この記事でご紹介した方法は、特別な道具や技術がなくても今日から始められることができます。まずは、楽しく過ごす中で少しだけ意識してみてください。そして大切なのは、焦らないこと。言葉の発達には個人差が大きく、その子なりのペースがあります。「まだ話さない」ではなく「これから話す」という前向きな気持ちで見守ってあげてくださいね。また、必要に応じて専門家の力も借りながら、成長を支えていきましょう!
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