発達障害によって引き起こされる二次障害 外在化障害とは

発達障害の特性を持つ子どもが陥りやすい「二次障害」。今回はその二次障害の中でも「外在化障害」と分類される疾患や症状などについてご紹介をしていきたいと思います。

二次障害とは?

「二次障害」あるいは「二次的な障害」とも呼ばれるこの状態は、発達障害を持つ子どもが周囲からの理解を得られ辛い環境の中で、繰り返し叱責や注意をされ続けた経験や、特性からのストレスなどを何度も経験していくことで自己肯定感などが下がり続けて起こり得る二次的な障害のことを指します。

しかし、発達障害を持つ人に必ず二次障害が発症する訳ではありません。周囲からの理解や支援を得ることができ、回避することも可能とされています。また、例え二次障害が発症したとしても、しっかりとした対処法や周囲のサポート次第では軽減されていくこともあります。

二次障害の特性そのものは完全に治ることはありませんが、本人の悩みごとや困りごと、二次障害などを軽減することができれば、日々の生活の中で笑顔が増えることは間違いないでしょう。

外在化障害とは

「内在化障害」が自分に対する苛立ちや精神的な葛藤といったものが「自分」に向けて現れる精神疾患が多いのに対して、「外在化障害」は精神的な葛藤などが「他者」へと向けた行為として現れます。また、外在化障害は内在化障害と併せて起こる可能性もあります。

具体的には以下のような行動が現れやすいそうです。

  • 反抗
  • 他者や物に対する暴力や破壊行動
  • 盗み
  • 家出
  • 放浪
  • その他反抗挑戦症や素行症など

>児童青年精神医学とその近接領域「S1-3.思春期自閉スペクトラム症の内在化障害および外在化障害について」より引用

また、二次障害は年代によって起こる症状が異なるとも言われています。幼少期から成人期にかけて4つの年代に分けて考えられています。

  • 幼児期:軽度な適応上の行動で問題が見られることがある。癇癪を起こす、人を叩いてしまうといった行動
  • 学童期:適応行動の問題が中心に見られる。学業面での問題、集団行動や対人関係における問題が目立つようになる。情緒面の不安定さも見られることがある。特に学業面での不安やパニックを引き起こす
  • 青年期:情緒面の不安定さ、精神面や行動面での問題、心身症が中心となる。適応行動の問題も見られる
  • 成人期:適応行動の問題、精神面や行動面の問題が中心。情緒面の不安定さなどが見られることもある

>大阪メンタルクリニック 「ADHDやASD等の発達障害による二次障害」より引用

これを見て分かるように、大人になってから問題が起きるのではなく、幼児期などの小さい頃からこういった行動が目立つ場合も一定数確認されています。

外在化障害が起きるきっかけ

外在化障害を起こすきっかけは、常日頃の不安やストレス、理解を得られない経験などが積み重なっていくことで現れます。

発達障害の特性によっては、その子のことを知らない他者から見ると健常児として見られてしまい、特性上できないことをサボっている、なまけている、努力が足りないと判断されてしまうことがあります。そして繰り返し叱責されたり、周囲から孤立してしまうことで、どんどん子どもの精神状態は悪化してしまいます。そして二次障害へと発展していってしまいます。

外在化障害が現れやすい状況

今回は外在化障害の1つ、反抗挑発症(反抗挑戦性障害)に絞って詳しく見ていきたいと思います。

反抗挑発症は9~10歳未満の子どもに現れやすい障害です。この症状の場合、「かんしゃくを起こしたりイライラしやすい」「大人と口論したり、規則を破る」「執念深さ」などの特徴が見られます。家庭でのみ症状が現れて、学校やその他の場所では今挙げたような特徴は出ない場合もあります。ですが、重度の場合ですと家庭以外の環境でも症状が見られることもあります。

一例ですが、家族に対して常にイライラしている男の子(8歳)が毎日のようにかんしゃくを起こすため精神科に受診しました。すると医師の前では大人しく従順ですが、お母さんから話を聞くと気に入らないことがあると暴言を吐いたり、泣いたり叫んだりしながら物を投げつけて壊したり、物にあたったりすることがあるそうです。

大人に対して反抗をしたりすることは、ひどいものでなければ健常児の子どもにも見られれる行動です。しかし、一定の要件を満たすとこの反抗挑戦症と診断される可能性があります。

  • 6ヵ月以内に診断基準にあてはまる症状が4つ以上のある
  • 症状の持続期間と頻度が子どもの年齢や性別などの標準を超える

※例:就学前の子どもであれば週に1度くらいのかんしゃくを起こすことは普通ですが、先程の一例のようにほとんど毎日かんしゃくを起こしたり、物を壊したり、他の症状も見られる場合は診断される可能性があります

また、子どもは自分が反抗的で挑発的であるとは思わずに、周囲が理不尽な要求をしてきたり、状況のせいで怒ったり挑発的な態度になってしまうと感じていることが多くあります。その結果、孤立してしまう、周囲のサポートを得られないことで学業などにも影響が出てしまうことも考えられます。

外在化障害を起こさないようにするためには?

これをすると絶対二次障害は起こしません!と言い切れるものは残念ながらありません。ですが、日々の子どもへの接し方であったり、言葉の選び方や態度を気を付けたり、子どもへの理解を正しく行うことはとても重要です。

これは二次障害を発症している子どもを持つ親御さんの接し方などが悪い。間違っている!と言っているわけではありません。日々子育てをされている親御さんには感服するばかりです。

ただ、子どもの何かを変えたいと思ったならば、まずは親御さんの行動から変えていかなければ変化は望めません。

そのために様々なトレーニング方法が存在します。お住まいの自治体や支援機関などの相談窓口や専門家に相談することで子どもや親御さんの環境に合った適切なサポートを案内してくれることがあります。他にも発達障害支援に関する資格を学び、子どもへ実践してみることも良いでしょう。

発達障害支援に関する資格も複数あります。以下の記事にて詳しく紹介していますので、良ければこちらもご覧ください。

外部リンク
発達障害情報・支援センター一覧

関連記事
発達障害児支援の人気資格3つを累計受講者数で徹底比較!

児童発達支援士とユーキャンの子ども発達障がい支援アドバイザー資格を比較

気になることがある時には

外在化障害らしい行動や内在化障害などの二次障害かな?と思うことがあったり、何か心配なことや不安なことなどがある時には発達障害で治療を受けている主治医にまずは相談をしてみましょう。主治医がいないという場合には精神科や心療内科、専門医などを受診してみてください。

いきなり受診することへ抵抗がある方はオンライン上で気軽に行えるセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか?

外部リンク
発達障害ナビ 発達障害セルフチェック

チェックリストはあくまでも簡易的な診断補助ツールであり、診断を確定するものではありません。これによって受診の必要などが出なかった場合でも、悩みや不安が続く場合や周囲の方で気になる方がいるようでしたら、医師や各種支援機関などに相談してみることをおすすめします。

【まとめ】発達障害によって引き起こされる二次障害 外在化障害とは

ここまで二次障害「外在化障害」について紹介をしてきました。

子どもによって同じ症状が現れていたとしても、重度が違ったり、他の症状も併発していたりと状況はまったく違うことが多々あります。

そのため、気になることが続くようでしたらかかりつけ医や支援機関、専門家などに相談してみましょう。日常生活における対処方法で参考になることがあったり、特性に合わせた環境を見つけるきっかけにもなるでしょう。

児童発達支援士

児童発達支援士のお申込みはこちらから。発達障がい児支援の資格として人気が高く、累計受講者数も圧倒的と話題の児童発達支援士…