発達障がい児に対する療育は本当に効果があるのか?

療育について色々調べていくと、「療育を行うようになってから子どもの行動が良くなった!」「療育で出来ることが増えた!」という意見と「療育を行っても効果がない」「意味がない」と逆の意見を見かけることがあるかと思います。今回は、何故このような逆の意見が見られるのか、どうしたら療育で効果が出やすくなるのかなどを見ていきたいと思います。

なぜ療育の効果がないと言われるのか?

これには様々な理由があります。

1つ目の理由としては「健常児に近づくことを期待している」場合が挙げられます。療育は発達障害を持つ子どもを健常児に近づけるのが目的ではありません。厚生労働省から出ている「児童発達支援ガイドライン」では以下のように定義されています。

児童発達支援は、障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。
引用:厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」

つまり「発達障害を持つ子どもが日常生活や社会生活を少しでも送りやすくすること」と言えるでしょう。そのための方法を子ども自身や親御さんが学び、将来的に社会的に自立した生活を送れるようになると素晴らしいことでしょう。

そのため実際には効果が出始めていても、目的や目標としている部分が違っているため効果がまったく無い、効果が薄いように感じていることがあります。最初はまったくそんなつもりが無かったはずなのに、気付いたら目標が違ってしまっている場合もあります。一度落ち着いて、療育を行う目標を見つめ直してみてはいかがでしょうか?

2つ目の理由としては「短期間の療育で急成長を期待している」場合が挙げられます。療育施設に通って先生や専門の方々が見てくれるのだからきっと1ヵ月も通ったらすぐに効果が出始めて、子どもが色々なことを出来るようになったり、様々な成長を見せてくれるんだろうな!と期待している方がいらっしゃいます。ですが、療育は短期間で劇的な効果が期待できるものではありません。通う回数や発達障害の重度やお子さんの性格や特性などにもよってかなり差がありますが、年単位の長い時間が必要になるといわれています。療育の様子を見学していると、毎回同じようなことをしていて成長が見られないといった感想を言われる方もいます。そして数ヶ月で何も効果が見られずに意味がないと感じてしまうようです。

3つ目の理由としては「療育施設以外では実践してない」場合が挙げられます。療育施設に通っている時間は週に何回か、1ヶ月に14回などお子さんの状況などによって変わってきますが定められた時間のみ通っています。通っている間の時間は、お子さんに合った療育がされていますが、それ以外の時間にまったく何もしていないと効果が出るまでの時間はより長い時間がかかることでしょう。そのため、通っている療育施設のスタッフさんや先生などに家庭でもできることを聞いたり、自分で発達支援について学び、子どもにアプローチを行っていくことが大切といえるでしょう。

4つ目の理由としては「療育が子どもの特性に合っていない」場合が挙げられます。例えば一言に療育と言っても、療育には応用行動分析、TEACCH、SST、運動療育、音楽療育や集団療育、個別療育と様々な種類や実践の仕方があります。お子さんの特性によっては人とのコミュニケーションを苦手としていたり、集団の中にいるとストレスや不安を感じてしまって療育の内容に集中することができないことで、効果が出にくいことがあるようです。このようなパターンを防ぐためには、通っている療育施設のスタッフとよく話をしたり、可能であれば療育の様子を見学するなどをして、子どもの特性上苦手なこと、ストレスを感じることなどをしっかりと伝えておくことが重要です。

このように効果が出ない、見えない理由としては様々なものがあります。今挙げた4つの理由以外にも、お子さんの状況や環境によって別の理由があることもありますので、どれにも当てはまらない場合があることは注意して下さい。

ここからは療育を行う上でのポイントを紹介していきたいと思います。療育以外の日常生活でも意識しておくと、お子さんに良い影響を与えるポイントも紹介していますので、ぜひ続けてお読みください。

発達段階に合わせた療育を行う

療育は子どもの発達段階に合わせて少しずつ行われていきます。まずは子どもがどの段階にいるのかを正しく把握することが大切です。

例えば挨拶が出来ない子がいるとします。その子どもは挨拶をすることが出来ないのか、または声を出すことが出来ていないのかなどを把握しましょう。声を出すことが出来ないのに、挨拶をするトレーニングを行っても意味がありません。効果が全く出ないどころが、トレーニングさえ行えずに子どもにストレスが溜まってしまう可能性があります。

否定的な声かけはしない

これは療育をする時だけに限られた話ではないのですが、否定的な声かけをするのではなく、肯定的な声かけをすることが大切です。

否定的な声かけとは、例えば子どもがゲームをしていて夜遅くまで起きていた時に「こんな時間まで起きていちゃ駄目じゃない!早く寝なさい!」といったものです。このような声かけをしてしまうと、子どもは反抗したくなってしまいますし、ストレスも感じてしまいます。

「もう夜も遅いし、続きは明日にして今日はもう寝ようね」といった声かけならば、先程より子どもも素直に受け止めやすいでしょう。

療育を行っている最中に、否定的な声かけをしないように日常生活の中から気を付けていきましょう。もし、否定的な声かけを続けてしまうと子どもの自己肯定感が下がり続けてしまう危険性もあります。自己肯定感とは「ありのままの自分を受け入れること」を指しています。発達障害を持つ子どもはできないことを責められたり、特性をからかわれたりと自己肯定感が下がるシーンがとても多くあります。

そこに否定的な声かけが続くことで、子どもは自分自身に対して何をしても駄目なんだと感じてしまい何事にも意欲が沸かなくなり、療育の効果がみられなくなってしまうこともあります。肯定的な声かけを使うように心がけていきましょう。

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療育は自分で学んで行うこともできる

療育について知ると、やはり専門的な知識や実践経験などが必要で、何もしたことがない一般人では無理なのでは?と感じてしまいます。ですが、専門的な書籍を読んだり、発達支援に関する資格を学ぶことで、自宅で子どもに療育を行うことも可能です。

もちろん、プロではないため子どもに行っているアプローチが合っているか分からないというデメリットなどもあります。ですが学ぶことで考え方が変わり、日常生活の中でのストレスが減って子どもと楽しく関わるようになる方や、自宅で療育を行うようになってから子どもに変化があったと感じる方もたくさんいらっしゃいます。

下記の関連記事にて今、発達障害支援について人気の資格について紹介していますのでご覧ください。

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【まとめ】発達障がい児に対する療育は本当に効果があるのか?

ここまで療育は本当に効果があるのか、無いのかについて見てきました。子どもにあった療育を行っているか、目的が間違っていないかなどで効果の有無は大きく変わってしまいます。効果的な療育を行い、発達障害を持つお子さん、そしてその親御さんも含めて皆さんが、笑顔で毎日を少しでも楽しく過ごせるようにしていきましょう!

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