学校の厳格なルールが発達障がい児を生み出している?

東洋経済オンラインにて面白い記事を見つけました。小学校教員である宮澤先生と言う方が発達障害に関するインタビューに答えているものなのですが、一見の価値はあると感じましたので当ブログで紹介をしていきます。ここでは、この方のインタビュー内容を紹介しながら、私なりの見解も交えてご紹介していきたいと思います。初めにお伝えしておきますが、私はこの宮澤先生の仰っていることが正しいもしくは間違っているという事を言いたいわけではありません。発達障害に関する認識を様々な角度から深めるための一助になればと言う思いです。その点だけご理解ください。

【特集】発達障害は学校から生まれる

まずは、今回のこのインタビュー記事の引用元をしっかりとご紹介しておきます。全文を確認されたい方はこちらからご覧ください。ただ少し長いので、まず私の記事をご覧頂くと要点を掴めるかと思います。

引用元サイト
東洋経済ONLINE 発達障害の子どもを排除する厳格な「学校ルール」

それではいくつかの項目に分けながら要点を確認していきましょう。

ルールに収まらない子が増えるのは必然

私は挨拶なしで授業を始めますが、面白い授業をすればスタート段階で一斉にこちらを向くし、つまらない授業をすれば、いつまでもざわざわしています。それは子どもの責任というより、プロとして私がだめだということです。

整列や一斉に腰を下ろすといった集団行動も同じです。できない子がいて何度もやり直しさせていると、周りも次第にその子を否定的に見るようになります。

学校のルールがどんどん細かくなるので、そのルールに収まらない子が必然的に増えてくる。その結果、ひと昔前であれば「この子がなぜ?」という子どもが、特別支援学級に行くことが増えました。

宮澤先生のいわんとしていることがよくわかります。確かに「先生のレベル(対応力)」が足りないがためにうまくいっていない事というのも沢山あるでしょう。しかし、先生の対応力を高めるという作業は非常に大変です。そうなるとどうなるのか。ルールが作られるわけです。「こういう時にはこうしましょう」と。すると対応力が高くない先生であっても「ルールでこうしているんだから!」と言えて、一定の規律を維持することが出来るという事なのでしょう。

しかし、これは最善の手ではないことは明白です。ただ現実は非常に難しく、先生方の負担が大きすぎるのです。子供同士のけんかも一昔前ならそうおおごとになることはなかったかもしれませんが、現代では保護者も介入し大きな問題になることがしばしば。このようになるとケアすべきことが多くなり、先生方に先生としての質を高めるための研修などを行う時間はどんどん減っていくでしょう。

ではなぜ子ども同士のけんかを今はおおごととして捉えるようになってしまったのか。。。このように理由を掘り下げて考えていくときりがなくなります。しかし問題なのがそのしわ寄せが子どもたちに言っているのではないかというのが、恐らく宮澤先生のいわんとしていることなのでしょう。

発達障がい児と定型発達児とのトラブルについて

そうして周囲と接する中で、徐々に手をすぐに出さない接し方を学んでいきます。ある程度の年齢になると落ち着くことも多いので、その子の成長を待ってあげることが大切です。

子どもは優しくて、柔軟です。一緒の空間で過ごしていると、「あいつは授業で邪魔ばっかりするけど、忘れ物をした時は貸してくれて優しいんだよね」と、多面的に見るようになります。その子も一人の人間だということが理解できるんです。

しかし、自分の周囲で障害やハンディキャップのある人を知らないで育ち、あるとき突然出会ったら理解できるでしょうか。ともに育たない学校の現状は、社会をますます分断してしまうのではないかと危機感を感じています。

ここでは、分断してしまうことの危機感を仰られています。現代では「インクルーシブ教育」などと言われることも多く、認識が少しずつ広がってきている考え方です。インクルーシブとは、あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合うという事を意味しています。ただ現代では、理想と現実のはざまが発生しているのも現実でしょう。確かにインクルーシブ教育が出来るのであればその方がよい。しかし、現実難しさは増す。問題もトラブルも増す。その時にどうするのか。そもそも誰が担当になるのか。教員免許だけでなく、障害の専門知識を有していなければ出来ないのではないか。など問題は様々です。ただし将来的な方向性と言う意味では、宮澤先生の仰っている方向に向かうのではないかと思っています。

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通常学級のレールに戻ることは難しい

保護者にとっては、特別支援学級・学校に行けば、専門性の高い教育を受けて子どもの可能性が広がるという希望があります。ただ、特別支援学級・学校は、保護者がイメージする専門的な学びとは違い、将来の就職につなげるための訓練に近い面があります。

一度、特別支援学級・学校のレールに乗ると、通常学級のレールに戻るのは難しいのが現実です。特別支援学校の高等部の卒業は、就職時に(「高卒」の要件として認められず)中学校卒業の扱いになります。特別支援学校では就職先を斡旋してくれますが、そこでうまくいかなければ、中卒資格で自活しなければいけません。

これも大きな問題でしょう。特別支援学校の高等部を卒業しても、中卒となってしまう。そうなると保護者としては特別支援学校を選択することが非常に難しくなると言えるのではないでしょうか。どちらが良いのか。という事に関しては、答えはありません。ただどちらか一方の選択を行った場合に、将来的に大きなマイナスがあるとなると正しい判断が出来なくなる可能性が高まるでしょう。

これは国の制度の問題ですから、すぐに大きな進展を見せることはないかもしれませんが、何か良い解決策が生まれることを切に祈ります。

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合理的配慮が公立学校に義務付けられたが・・・

明日の授業、来週の行事につねに追われ、考える余裕がないという現実問題はあります。2000年以降、教師への人事評価制度が入ってからは評価が給料や昇給に跳ね返るので、管理職に物が言いづらくなりました。

合理的配慮をしようと努力している教師もいますが、(さまざまなルールを設ける)学校文化が変わらない限り、それとの板挟みになります。その結果、環境の調整よりも投薬が優先される可能性もあります。集団行動が苦手な子がいたら、そもそも「なぜそのルールが必要なのか」を子どもにも考えてもらい、学校の文化そのものを見直していく必要があります。

合理的配慮を制度として義務付けることは簡単ですが、それを実行し続けることは本当に難しいでしょう。先生方は発達障害の専門家ではありません。そこを飛ばして、合理的配慮となるとまたこれもおかしな方向に行ってしまうのではないかと心配な面もあります。ここまでが宮澤先生の記事となりますが、大きな問題を抱えており、それを変えるのは非常に困難である。と言う印象を受けてしまいました。

【まとめ】学校の厳格なルールが発達障がい児を生み出している?

いかがだったでしょうか?本当に考えさせられる記事でした。現場で働く方の意見がこうやって広まっていくことは価値があります。世論を変えていき、国を動かすことが大切です。そのために今私たちが出来ることは何でしょうか。それを一歩一歩実行していくしか道はありません。その積み重ねが、いつか実を結び子どもたちの笑顔に繋がっていくことでしょう。

ネットで「発達障害 ニュース」と検索するとこのような価値のあるの情報が沢山出てきます。是非理解を深めていきましょう!