精神疾患を知る パニック症の症状や特徴とは?

日々増え続ける精神疾患。その中でもパニック症という精神疾患がありますが、皆さんはご存知でしょうか?パニックと聞くと、混乱して感情や行動に制御が効かずに、暴れたり動き回ったりするようなイメージが沸くのではないでしょうか?

パニック状態ならそれで合っているのですが、パニック症になると症状などが変わってきます。今回はそんなパニック症について紹介をしていきたいと思います。

パニック症/パニック障害(Panic Disorder)とは?

人間は誰しもがパニックに陥ることがあります。ですが、その時には何かしらの原因があって、パニックに陥ります。ですが、パニック症では、何もない時に突然、強い不安や恐怖に襲われ、激しい動機・めまい・呼吸が出来ずに苦しくなるといった発作が起きます。初めてこの発作を経験した人は死の恐怖を覚えることもあるそうです。

パニック症は不安症に分類される精神疾患の1つです。パニック症にはパニック発作以外にも予期不安、広場恐怖といった3つの症状があります。詳しくは症状についての項目で紹介いたします。

パニック症は、日本国内での生涯有病率は1%とされていますが、国外では0.4%~3.5%の差があります。また、男女比では1:2と女性の割合が高くなっており、これは国内外問わず女性のほうが多いという調査結果があります。

もちろん治療法もありますし、パニック症は回復しうる精神疾患ですので、パニック症に罹ってしまったと落ち込まずに、医師やカウンセラーなどの支援を受けつつ回復を目指していきましょう。

外部リンク
参考:厚生労働科学研究成果データベースより

 

パニック状態とパニック症の違いとは?

よくパニック状態を聞くと思います。パニック状態とパニック症は違うの?なんて疑問に思う方もいるかと思います。一度ここで整理をしておきましょう。

パニック状態とは、災害や事故などの何かしらの非常事態に遭遇した時に起こる混乱状態のことを指します。それに対してパニック症は、特に何も起きていないような時に、突然不安に襲われて、身体症状や精神症状などを伴うパニック発作が繰り返し起こります。

このように何かしらの出来事が起きているかいないかという明確な違いがありますが、発作や症状には似たものがありますので間違えて一緒にしないように注意しましょう。

 

パニック症の症状とは?

パニック症には3つの症状がありますので、それぞれ紹介していきます。

パニック発作

まず最初に起こる症状がパニック発作です。突然強い不安や恐怖に襲われて、動悸・発汗・息苦しさ・体の震え・吐き気・めまい・頭痛・死への恐怖感などが現れます。人によって現れる症状は様々であり、発作の頻度もばらつきがあります。

数カ月の間発作が起きる人もいれば、数日発作が起きたと思ったら、ピタリと止まって、発作が出ない期間が続くなんて方もいます。ですが、治ったと思ってもその後に再発することもありますので、医療機関などを受診することをおすすめします。

予期不安

これはパニック発作が起きた後に現れる症状です。パニック発作がまた起こるのではないかという不安が常に付きまといます。パニック発作が起こるたびに予期不安は強くなり、パニック発作が治ったあとでも予期不安のみが残ってしまうことがあります。

また、この予期不安には2つのパターンがあります。それは、パニック発作が起こること自体への不安と、発作によって起こる別の事への恐怖です。別のこととは、発作が起きた時に周りに誰かいると恥をかくのではないか、誰かに迷惑をかけてしまうのではないかといった恐怖です。

この恐怖を感じることで、次の広場恐怖へと繋がります。

広場恐怖

さきほどの予期不安が強くなっていくと、パニック発作が一度起きた場所や、パニック発作が起きた状況、そしてすぐに逃げられない場所や助けを求められない場所を避けるようになっていきます。

その場所には、公共交通機関、渋滞をしている車の中、学校や会社などが含まれるようになり、1人で外出することも出来なくなってしまいます。このように広場恐怖は日常生活や社会生活に多大な影響を与えてしまいます。

外部リンク
参考:MSDマニュアル パニック発作およびパニック症

 

パニック症の原因とは?

精神疾患のどれにも言えてしまうことですが、明確な原因は未だ判明していません。脳内の神経伝達物質の量やバランスの乱れであったり、遺伝的な要因、脳神経機能の異常、環境的要因など様々な要因が挙げられます。

ですが、最初にパニック発作が起きるきっかけは強いストレスや過労だと言われています。強いストレスによって神経の異常や、ストレスに対しての防衛反応で呼吸困難などが起こることがあります。そのため、強いストレスを感じている時、疲労が抜けない・疲れが溜まっていると感じている時にはしっかりと休息を取ることが必要です。

パニック症になりやすい人は?

パニック症になりやすい人の特徴として以下のものが挙げられます。

  • 過度な完璧主義や真面目過ぎる人
  • 感受性が豊かな人
  • 周囲の目をとても気にする人
  • とてもこだわりが強い人
  • 精神的に追い詰められている人
  • 肉体的な疲労が溜まっている人など

 

完璧主義や真面目な人は、何でも完璧にこなそうとしてしまって頑張りすぎる傾向にあります。1人で対処できない量の仕事を抱え込んでしまうこともあり、気付いたら無理をしていて疲労が溜まり、心身のどちらにも不調が出ることがあります。

感受性が豊かな人は他者に共感しやすく、影響を受けやすい傾向にあります。ネガティブな感情の影響が続くことで、自分のストレスが大きくなる可能性があります。

周囲の目を気にする人は周りに気を遣いすぎることで、負担を感じて大きなストレスになってしまうことがあります。

こだわりが強い人は頑固で柔軟性に欠ける場合があります。苦手なことでも他者に頼らずやり切ろうとするあまり、大きな負担となり、それがストレスへと繋がってしまいます。

そして、精神的に追い詰められている人や肉体的な疲労が溜まっている人は、その状況がパニック発作につながりやすい状態となっています。一度休息を取る時間をしっかり取り、環境の改善を行うようにしましょう。

 

パニック症にならないためには?

まずは、身の回りの出来ることからやっていきましょう。例えば生活習慣を整えることで睡眠時間をしっかりと取るようにしましょう。睡眠時間は疲労回復、心のバランスを保つなど様々な良い効果があります。適度な運動にもストレスの軽減、栄養バランスの取れた食事では健康な肉体の基礎となる大切な要素です。

また、お酒や煙草、カフェインなどはなるべく控えるようにしましょう。一時的に楽になることがありますが、それに頼ってしまうことで依存症に陥る可能性もあります。また、お酒やカフェインはパニック症を引き起こす可能性があると言われています。

また、自分なりのストレスを発散する方法や、リラックスする方法を探しましょう。深呼吸や瞑想、ヨガやストレッチなど不安を感じた時に手軽に出来ることなどをおすすめします。もしも、それで改善せずに強い不安がある時にはしっかりと休むことも大切ですよ。無理は禁物です。

その他にも、パニック発作が出た時はその原因を探そうとしないほうが良い場合があります。パニック発作は原因が分からないのに起きていることがほとんどです。見つからないことでイライラしてストレスになることもありますので、自分が不安や恐怖を感じやすい場面などを把握したり、どのような方法でそれを解消できるのかといった方法を探すようにしましょう。こういったことを意識してメンタルヘルスを守るようにしましょう。

 

【まとめ】精神疾患を知る パニック症の症状や特徴とは?

今回はパニック症について症状や特徴などを紹介してきました。パニック発作自体は誰しもが経験する可能性のあるものです。一度なってしまったからといって、パニック症につながるとは限りません。

もしも心配な時は医療機関などの受診をおすすめします。早期発見・早期治療は精神疾患を回復する上でとても大切なことです。カウンセリングを受けると楽になることもありますので、利用してみてはいかがでしょうか。