発達障害によって引き起こされる二次障害 双極性障害とは

皆さんは双極性障害(躁うつ病)についてご存知でしょうか?発達障害の特性を持つ方に起こりえる二次障害のうちの1つでもあり、名前や症状からうつ病とも間違われやすい双極性障害ですが、うつ病とは違う二次障害です。間違った対応をしないように今回はこの二次障害について見ていきたいと思います。

双極性障害(躁うつ病)とは

双極性障害は、躁状態とうつ状態をくりかえす病気です。躁状態とうつ状態は両極端な状態です。その極端な状態をいったりきたりするのが双極性障害なのです。

気分の波は、誰にでもあります。幸せな感じがする時もあれば悲しい気分の時もあるのは当たり前です。嫌なことがあった時に落ち込んだり、楽しいことがあった時にウキウキしたりするのは、ごく自然なことで、病気ではありません。でも、周りの人たちが「どうもいつものあの人とは違う」と気づき、「ちょっとおかしいのでは?」と思えるほどその気分が行き過ぎていて、そのために家族や周りの人が困ったり社会的信用を失うほどであったら、それは、双極性障害かもしれません。

外部リンク
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルスより引用

極端に気分が高揚した状態(躁状態)では、誰かれ構わず話しかけたり、まったく眠らずに動き回ったり、活動的になる状態です。今の自分なら何でもできると思い、ギャンブルに全財産をつぎ込んだり、高額のローンを組んで買い物をしたりと社会的信用や財産、場合によっては職を失ったりする可能性のある状態です。

躁状態で現れる症状

躁状態で現れる症状は以下のようなものが挙げられます。

  • 偉くなったような気がする
  • 人の意見を聞き入れない
  • 眠らなくても平気に感じる
  • アイデアが次々と浮かんでくる
  • よく話すようになる、知らない人でも友達に思えてくる
  • 怒りっぽくなる
  • なんでもできるような気がする

うつ状態とは躁状態とは逆で一日中憂鬱な気分で、眠れなくなる、逆に眠りすぎたりする、大好きな趣味などに関心が無くなる、食欲などが低下するといったうつ病と同じ症状が現れます。この部分だけが気になることでうつ病と間違われることもあります。

うつ状態で現れる症状

うつ状態で現れる症状は以下のようなものが挙げられます。

  • 気分がすごく落ち込む
  • 疲れやすくなる
  • 食欲が無くなる
  • 何事でも楽しむことができない
  • 物事に対しての考え方がネガティブになる

双極性障害は別名で躁うつ病という名前でも知られていますが、うつ病と似ているように思えますが、両者は違う病気です。うつ病は気分が落ち込む、やる気が無くなるなどのうつ症状だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と躁状態を繰り返す病気です。

そのため、うつ病かも?と思い病院を受診したら双極性障害でしたと診断される方は少なくありません。

二次障害を起こすきっかけとは

双極性障害はうつ病など他の二次障害と同じく、過去の経験からくることが非常に多くあります。様々な場面でコミュニケーションがうまく取れない、周囲の行動に合わせて動くことができずに叱られたり、注意をされる。それ以上に行動を制限されてしまうこともあります。これらが繰り返されていくうちに、周囲の人達から理解されずに「変なことを言う子だな」「変な行動を取る子だな」と言われることが多くあります。

こうして本人には成功体験ではなくストレスや辛い経験が蓄積されていき、「自分のことは誰も分かってくれない」「何をしてもうまくいかない」「また叱られる」「どうせ失敗してしまう」などネガティブな感情が多くなり、自己肯定感の低下へと繋がっていきます。そして最終的に情緒不安定やさらなる不適応が二次障害の発症へとつながるといわれています。

注意していただきたいのは、二次障害は1度や2度の失敗で引き起こされるものではありません。特性が原因となって生じる困難が何度も何度も積み重なって、周囲の理解も得ることができなかった時に発症することが多いと言われています。

ADHDの特性は双極性障害を併発しやすい?

ADHDの特性を持つ方の中でも特に多動性・衝動性と似ている部分が多く見られます。多動性・衝動性によって気分の波が激しくなりやすい傾向があります。この気分の波はあくまでも一時的な物ですが、これを繰り返し経験していくうちに積み重なっていき、気分の波が激しい時から落ちこんでいる時に変わるまでの期間が長くなることがあります。

また、注意障害の特性から失敗体験の多さや叱責されるといった経験が多くなりがちです。この経験から気分が落ち込みやすく、気分が激しい時と落ち込んだ時の波の差を繰り返し感じることも要因の1つといわれているようです。

こうして双極性障害へと発展していきやすくなるため、ADHDの特性を持つ方は双極性障害を併発しやすいといわれているようです。

なにか気になることがある時には

まずはセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか?以下にセルフチェックリストをご紹介させていただきます。

外部リンク
躁状態のセルフチェック

チェックリストはあくまでも簡易的な診断補助ツールであり、診断を確定するものではありません。これによって双極性障害の疑いが出なかった場合でも、悩みが続く方や周囲の方で気になる方がいるようでしたら、まずは医師や各種支援機関などに相談してみることをおすすめします。

双極性障害にならないためには自己肯定感を高めるといい?

双極性障害の直接な原因は様々なことが考えられていますが、解明されるところまではきていません。ですが、きっかけとして「ストレスを感じやすい」という方が多くいらっしゃいます。そのため、ストレスを最小限に止めることが必要になります。完璧主義にならないで、小さなことでも達成できたら自分を誉める。自分の気持ちを誰かに打ち明ける、相談する。周囲の目を気にしすぎないといったことが挙げられます。

これらができるようになるためには、自己肯定感は必要不可欠といえるでしょう。自己肯定感が低いと何かを達成しても自分を認めて誉めることができずに、むしろこれしかできていないと責めてしまう、必要以上に他人の目が気になってしまうこともあります。

ですが、発達障害の特性を持つ方は家庭内では良いのですが、どうしても外に出ると叱責をされる経験が多かったり、いじめや特性をからかわれた経験が多く、それがトラウマとなり自己肯定感が低い傾向にあります。

当ブログでは自己肯定感を上げるための工夫や、テクニックも紹介をしていますのでよろしければそちらもご覧ください。

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【まとめ】発達障害によって引き起こされる二次障害 双極性障害とは

いかがでしたでしょうか?二次障害の一つ双極性障害について、うつ病との違いや、共通点、きっかけなどを紹介してきました。

双極性障害は一度かかると再発の可能性が高く、ストレスだけではなく、疲れたり生活リズムが崩れたりすることでも再発の可能性は高まるといわれています。そのため、疲れた時には無理をするのではなく、適切な睡眠を取るなどしてしっかりと休むことも再発防止、予防になるといわれています。もし、似たような症状や何かでお悩みの方はお近くの支援機関などに相談へ行ってみるのはいかがでしょうか?

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発達障がい者支援センター

全国精神保健福祉センター

他にも児童相談所や子育て支援センター、または専門の医療機関など様々な場所で相談できます。1人で思い詰めてしまうとマイナスの思考に陥り易いものです。誰かを頼ることは決して悪いことではありません。是非、足を運んでみてください。

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