世界各国のメンタルヘルスに関する取り組みを紹介

近年ますます増加する精神疾患に対して、世界各国で様々な取り組みがされています。少し前の記事では日本国内のメンタルヘルスの歴史や取り組みなどについて一部紹介をしました。

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今回は日本国内ではなく、2024年12月現在の世界各国の精神疾患の統計データや取り組みなどに目をむけて見ていきたいと思います。

世界の精神疾患に関する統計の紹介

世界保健機関(WHO)によると、うつ病患者は2023年時点で推計2億8000万人だといわれています。うつ病患者数の割合は全世界の人口の約3.8%、成人の約5%がうつ病で苦しんでいると言われています。男性よりも女性のほうが多く、最悪の場合自殺につながる可能性があります。

精神疾患には有効な治療法があることが知られていますが、低・中所得国の多くの方は正しい診断や適切な治療を受けることが出来ていないとされています。この治療を受けられない原因は、メンタルヘルスケアへの投資不足、訓練を受けた医療従事者の不足、精神疾患に対する社会的偏見などが挙げられます。

偏見や誤解などは昔に比べると減りつつありますが、悲しいことに未だに残っていることは否めません。偏見を無くすためには、1人1人が精神疾患やメンタルヘルスに対して正しい知識を持っていくことが必要です。

正しい知識を持っていれば、もしも精神疾患になりそうな時やなってしまった時の対処法が変わります。精神疾患は「誰にでもかかり得る病気」です。正しい知識や、メンタルヘルスを守るために必要なケアなどを今のうちに少しずつ学び、普段の生活に活かしていきましょう。

外部リンク
参考:WHO  Depressive disorder (depression)

 

メンタルヘルスの調査で世界16カ国の中で日本は15位

心の健康を示す指標で日本は対象16カ国のうち15位でした。心の状態が良好と回答したのは18%、まあまあ良好と回答した人は37%、不調と回答した人は14%でした。これは前年の調査よりは改善しているようですが、それでもまだ低い水準となっています。

そして、メンタルヘルスの不調を自ら表明できるかという項目では、最下位となっています。日本は少しずつではありますが、制度の整備などを行い、メンタルヘルスの支援をする体制を整え始めています。ですが、メンタルヘルスの適切なサポートを受けられていないという現状もあります。

外部リンク
参考:職場でのメンタルヘルス支援体制:日本が世界16の国と地域の中で最下位

 

世界各国のメンタルヘルスへの取り組みとは?

次に世界各国のメンタルヘルスへの取り組みを一部紹介していきたいと思います。

アメリカのオレゴン州では、学生が自身の精神状態をケアするために、メンタルヘルス休暇を取得することを許可する法律が出来たそうです。3ヶ月ごとに最大5日間の休みが取得できるようで、それ以上の場合は学校長などへの申請が必要となるようです。オレゴン州では自殺が10歳~34歳の死因で2番目に多く、この政策によって抑制することを狙っているようです。

この他にも、学校教職員や学校管理職への自殺予防研修の義務付け、メンタルヘルスサービスの利用者へのスティグマの軽減など様々な取り組みを行っています。

※スティグマとは 差別や偏見とも言われ、特定の属性を持つ人に対してネガティブな認識を持たれて不当な扱いを受けること

 

イギリスではNHS(国営医療保険制度)が無料でトーキングセラピーを提供しているようです。対面、もしくはオンラインで、グループかプライベードかなどその人に合わせて方法を選ぶことができ、子どもから大人まで幅広い年代が利用できるように提供されています。

また、かかりつけ医などの公的機関が、支援が必要な方に対して行政や地域の慈善団体が運営する支援活動などへ橋渡しを行い、健康や社会福祉の向上を図るsocial prescribingという考え方が広まっているようです。

 

スウェーデンでは精神疾患の予防を学ぶための授業が学校に導入されています。また、ケアファームという農業や自然療法を組み合わせた施設もあり、心身の健康を総合的にサポートする施設があります。ケアファームでは農作業や動物との触れあい、森林浴などを行ったり、利用者がコミュニティの一員として参加することで、他者との繋がりを持ち社会的結束を高める場所としても利用されています。

このように世界の国それぞれによって特色を持ったメンタルヘルスの取り組みが行われています。日本もそれに続くように、授業にメンタルヘルスリテラシー教育が行われたりしています。

 

まだまだ残る精神疾患やメンタルヘルスへの支援と課題とは

ですが、日本だけではなく全世界でまだまだ支援への課題は多くあります。精神疾患に対する理解が進み、認識が変わってはいますが、先程も例に挙げた通りスティグマが残ってしまっています。

これは偏見だけではなく、メンタルヘルスに不安を抱えている本人にも強く影響しています。精神科や医療内科などを受診するのは恥ずかしい、抵抗がある、精神疾患は心が弱いからだなんてことを考えてしまい、受診が遅れて重症になってしまうなんてことは少なくありません。

憂鬱な気分が続いている、不安や焦りを感じる、死にたいと思うことがある方などはまずは一度受診してみましょう。一時的な疲れが原因で心が弱っているだけならば精神疾患などの大きな病気ではなくてよかったと思えます。もしも病気だった場合には、早期発見ができてよかったと思えます。どちらでも良い結果しか待っていません。

病気が見つかって良い結果なの!?と感じるかもしれませんが、精神疾患も放置すればするほど治りが遅くなりますし、どんどん治りづらくなっていきます。早期発見、早期治療はとても大切です。

外部リンク
参考:e-ヘルスネット 精神疾患の早期発見・治療の重要性

 

メンタルヘルスを守るために自分で出来ること

精神疾患にならないためにはメンタルヘルスを守ることが必要です。そのためにも、ストレスと上手に付き合うようにしましょう。

上手に付き合うと言われてもどうすればいいか分からない!と思う方も多いと思いますので、この記事を読んで今すぐできることから、少し勇気がいるものまで紹介します。

まずは自分がストレスを感じていることを理解しましょう。人はストレスが溜まると身体面か精神面のどちらかに何かしらのサインが現れます。そのサインは人によって変わりますが、イライラが止まらない・無気力・食欲が無い、もしくは過剰にある・寝つきが悪い・胃痛や腹痛などがあります。

こういったサインが出たら、ストレスの発散を行うようにしましょう。ストレスの発散は自分が好きなこと、趣味などに没頭する、休息を取る、深呼吸やヨガなどをする、軽い運動をして体を動かすなどがあります。自分にあったストレス発散の仕方を探していけると良いですね!

また、生活習慣を整えるようにしましょう。バランスの取れた食事や、睡眠時間をしっかりと取る、適度な運動は身体の健康を支える上で大切なことです。そして身体の健康は心の健康を維持するために必要なことです。たまに崩れてしまうことはありますので、そんな時は崩れてしまった自分を責めるのではなく、明日からまた頑張ろう!と切り替えていきましょう!

そして、これは少し勇気がいることですが、困った時は誰かに相談しましょう。辛い時に話を聴いてもらえるとそれだけで楽になることがあります。そして、自分では見つからなかった解決の糸口が見つかるきっかけになるかもしれません。

友人や家族などを頼っても良いのですが、知人には相談し辛いという方、もしくは心の不調が2週間以上続いている方は医療機関や相談機関を頼ることもお考えください。専門家に相談することで病気が見つかるかもしれませんし、見つからない場合でも安心することができます。

外部リンク
参考:こころの情報サイト ストレスとセルフケア

【まとめ】世界各国のメンタルヘルスに関する取り組みを紹介

今回は世界各国のメンタルヘルスへの取り組みや、メンタルヘルスの守り方などを紹介してきました。

自分は大丈夫!なんて考えは危険です。他人事と思わずに正しい知識などを学びましょう。そして自分だけではなく周囲の方も含めてメンタルヘルスに良い環境を作っていけると良いですね。