発達障害の診断基準DSM-5とICD-10の違いとは?

今回は発達障害の診断基準として用いられているDSM-5とICD-10についての紹介をしていきます。これらの違いを理解することで、勘違いを防いだり、今までなんとなくもやもやしていた部分が明確に理解出来たりする思います。正しい理解が次の行動の一歩になりますので、一緒に確認をしていきましょう。

DSM-5とICD-10の違いは?

このふたつに共通するのは、どちらも発達障害の診断基準として国際的に利用されているものだということです。日本でも医師や病院によって異なるのですが、このどちらかの診断基準に沿って発達障害の診断を行っている所がほとんどです。そのため発達障害の理解を深めようと思ったときに、まず知るべきなのがこの2つなのです。

  • DSM:精神疾患の診断・統計マニュアル
    Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)
  • ICD:疾病及び関連保健問題の国際統計分類
    International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)

では、二つの違いを具体的に確認していきます。

DSMICD
版(2021年4月時点)第5版第10版(11版も公表済み)
機関アメリカ精神医学会WHO(世界保健機関)
分類対象精神疾患疾患全般

このようになります。ここで押さえておきたいことは、診断基準を作成している機関が「アメリカ精神医学会」なのか「WHO」なのかという点が大きな違いの1つです。そしてもうひとつ大切なのが、分類対象が「精神疾患」のみなのか「疾患全般」に及んでいるのかという点になります。

どちらがいいとか悪いという話ではなくこのような違いがあります。この特性から政府や行政が使用する場合には、WHOが作成しているICDを使うことが多く、こちらの基準に沿って発表をすることが多くなります。一方病院で診断を下す場合には両方使われております。専門医の所ではより専門的に精神疾患を扱うDSMを基準として利用している所が多い傾向です。ただ明確に統計を取っている機関があるわけではありませんから、あくまでも私が情報を収集して感じた印象です。

おおよその部分は両者ともに共通しているのですが、分類の仕方や分類名、診断名は多少異なります。具体的にどのように異なるのかは次の項目を御覧ください。

発達障害の分類を比較

それではDSM-5とICD-10の分類を確認していきます。

DSM-5の発達障害に関する分類

  • 知的能力障害群
  • コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群
  • 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害
  • 注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害
  • 限局性学習症/限局性学習障害
  • 運動症群/運動障害群
  • チック症群/チック障害群

DSM-5が分類する発達障害の分類はこの通りです。DSM-4から5に変更された際に、自閉症やアスペルガーの表記がなくなり、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という表現にまとめられました。改訂が行われたのが2013年(日本語版は2014年)だったことから、それ以前に診断を受けた方は自閉症やアスペルガーと診断された方も多くいらっしゃると思います。ちなみにDSM-4から5に代わるまでの期間は20年でした。そのことを考えると、今後も10年~20年程度で更新される可能性があると言えるでしょう。

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ICD-10の発達障害に関する分類

  • 会話及び言語の特異的発達障害
  • 学習能力の特異的発達障害
  • 運動機能の特異的発達障害
  • 混合性特異的発達障害
  • 広汎性発達障害
  • その他の心理的発達障害
  • 詳細不明の心理的発達障害
  • 多動性障害
  • 行為障害
  • 行為及び情緒の混合性障害
  • 小児<児童>期に特異的に発症する情緒障害
  • 小児<児童>期及び青年期に特異的に発症する社会的機能の障害
  • チック障害

このようになります。少し多いのでややこしいイメージもありますが、より事細かに分けられていると表現することも出来そうです。「広汎性発達障害」というところに自閉症やアスペルガー症候群が含まれています。DSM-5と取り扱っている内容に関しては同じようなものですが、表現が違ったり分類の分け方が違ったりという特徴があることがわかります。またこのICD-10が発表されたのが1990年となっておりすでに30年が過ぎています。DSM-5は2013年だったことから、現代の医学や科学が反映されているのはDSM-5だといえそうです。ただICD-11が2018年に発表されております。日本政府も順次ICD-11への対応をすすめていくとしていますので、もうすぐ最新の基準が適応されるかもしれません。

ICD-11で新たに追加された項目

ICD-11改訂の概要は以下の通りです。

(1)公表日時 平成30年6月18日(月)ジュネーブ時間12時(日本時間18日19時)

(2)ICD-11(英語)のアドレス:以下からご参照ください。
https://icd.who.int/

(3)ICD-11の特徴

  • 改訂内容には、最新の医学的知見が反映されており、多くの日本の医学の専門家・団体が貢献しています
  • 死亡・疾病統計の国際比較に加え、臨床現場や研究など様々な場面での使用を想定し、より多様な病態を表現できるようコード体系が整備されました
  • ウェブサイトでの分類の提供など、電子的環境での活用を想定した様々なツールが、WHOから提供されています。

(4)新たに追加される章(仮訳)

  • 第4 章 免疫系の疾患
  • 第7 章 睡眠・覚醒障害
  • 第17 章 性保健健康関連の病態
  • 第26 章 伝統医学の病態-モジュール
  • 第V 章 生活機能評価に関する補助セクション
  • 第X 章 エクステンションコード

外部リンク

厚生労働省|国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)

セルフ診断にしやすいのはどちら?

まず結論から申し上げますと、正確なセルフ診断は基本的には出来ません。診断基準は明確に発表されていますが、発達障害は複数の障害を合併している場合も多いため、専門家ではない私たちがセルフ診断を下すことは非常に難しいことですし、あまり安易にやるべきでもないと思っています。

とはいえ、保護者の立場からすると心配で居ても立っても居られない。そのような気持ちもよくわかります。そのため気を紛らわす程度や病院に行くきっかけづくりとしてセルフ診断をすることは否定しません。でも気を付けて頂きたいのは、そこで確定させず「疑いを持つ」程度に留めるようにしましょう。確定させて、気持ちが落ち込み子供さんへのあたりが強くなってしまったり、ご家族のバランスが崩れてしまっては本末転倒です。そのため、セルフ診断する場合にはある程度の覚悟をもって、その後平常心を保つことを意識しましょう。

その時にどちらの診断基準の方が利用しやすいかというと、私はDSM-5の方が使いやすいと考えています。理由は単純で、現時点であれば最新の情報がDSM-5であるからです。現在日本でも適応を勧めているICD-11が正式に発表された場合はまた結論が変わってくることがありますが、現時点ではDSM-5で良いと思います。

過去の記事でセルフチェック項目をまとめた記事がありますので、詳細はそちらを御覧ください。

関連記事

子供からのサイン 発達障害のセルフ診断チェックリスト

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【まとめ】発達障害の診断基準DSM-5とICD-10の違いとは?

以上で、発達障害の診断基準DSM-5とICD-10の違いとは?についての記事は終わりになります。

この2つの基準を知ったから何??と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに半分その通りです。この診断基準を利用するのはお医者さんであり私たちが詳細を把握してもあまり役に立たないかもしれません。しかしお医者さんから診断を受けた際に、言葉がスーっと入りやすくなったり、他の保護者と話をしているときに微妙な言葉のズレに悩んだりする必要が無くなります。支援をするうえで大切なことは、支援をするものが正確な知識を有していることです。そこから支援は始まります。

お子様を支援するのは一番は、保護者です。そういった意味で保護者の皆様もこういった知識を少しずつでもいいので取り入れていくことは十分に意味があり、それこそが支援になると信じています。

今後も有益な情報を発信していきますので、応援よろしくお願いします!

外部リンク
発達障害児支援の人気資格|児童発達支援士公式サイト