ADHD(注意欠陥多動性障害)の自己診断と支援方法

ADHD(注意欠陥多動性障害)は7歳までに発症するというのが一つの特徴となっています。落ち着きがなく、学校でも座っていられないなどの問題が発生しています。ADHDの特性を持つ子は、年々増加傾向にあると言われています。「うちの子は、もしかしたらADHDではないか?」と不安に感じている方、一度自己診断をしてみてはいかがでしょうか?

ADHDと診断される子の割合

様々な統計がとられているため、見るデータによって割合は異なりますが、よく言われているのが5%~10%の子供にADHDの特性があるとされています。アメリカでも11%程度というデータも出ているので、おおよそ10%前後の子供がADHDの特性を持っていることになります。10人に1人ということなので、クラスに3人程度いるといえそうです。

また男女比で言うと男児の方が3~4倍程多いと言われています。これもデータが様々なので断言はしにくいのですが、傾向として女児よりも男児の方がADHDの子供は多いという認識は出来そうです。

世界基準のDSM-5による自己診断

通常、ADHD(注意欠陥多動性障害)は7歳までに症状が確認されます。おもな症状としては、集中困難、過活動、不注意などが一生にわたって継続するといわれています。過活動が顕著ではない、女の子(女性)に多く見られる、不注意優勢型の場合には、周囲が気付かない場合も多いです。それも辛いものでうs。診断に意味があるとは思っていませんが、診断が下ることで肩の荷がすっとおりるということもあるでしょうから。

ではADHD(注意欠陥多動性障害)の診断はどのようにされるのでしょうか。

今回は米国精神医学会の診断基準(DSM-5)による診断基準を紹介します。

次にあげる症状のうち6つ以上が6か月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で発達の水準に相応しないものとなります。あくまでセルフチェックという形ですが、お子様の現状を照らし合わせてみてください。【不注意面】と【多動性】【衝動性】の2つに分かれており、それぞれで6つ以上6か月が当てはまるかどうかがポイントになります。

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【不注意面】

(a)学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することが出来ない、または不注意な過ちをおかす

(b)課題又は遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である

(c)直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える

(d)しばしば指示に従えず、学業、幼児、または職場での義務をやり遂げることが出来ない

(e)課題や活動を順序だてることがしばしば困難である

(f)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う

(g)課題や活動に必要なものをしばしばなくす

(h)しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる

(i)しばしば毎日の活動を忘れてしまう

 

DSM-Ⅳ精神疾患の分類と診断の手引き 高橋三郎ほか

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では、次に【多動性】【衝動性】を見ていきましょう。こちらも6つ以上あてはまり6か月以上の継続が見られるかどうか(先ほどと同じ基準)でチェックしましょう。

【多動性】

(a)しばしば手足をそわそわと動かし、または椅子の上でもじもじする

(b)しばしば教室や、そのた、座っていることを要求される状況で席を離れる

(c)しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ登ったりする

(d)しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない

(e)しばしば”じっとしていない”または、まるで”エンジンで動かされるように”行動する

(f)しばしばしゃべりすぎる

 

【衝動性】

(g)しばしば質問が終わる前にだしぬけに答え始めてしまう

(h)しばしば順番を待つことが困難である

(i)しばしば他人を妨害し、邪魔する

 

DSM-Ⅳ精神疾患の分類と診断の手引き 高橋三郎ほか

いかがだったでしょうか?細かな診断項目はもう少しあるのですが、今回はセルフチェックということでこの程度にしておきます。

ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断結果には、3種類あるのでそちらも確認していきます。

●混合型
【不注意面】【多動性+衝動性】の両方で、6つ以上チェックがついた方

●不注意優勢型
【不注意面】のみ6つ以上チェックがついた方

●注意欠陥
【多動性+衝動性】のみ6つ以上チェックがついた方

このようになります。このチェックをひとつの参考にしていただき、心配であれば病院で受診されることをお勧めします。ADHD(注意欠陥多動性障害)をはじめとする発達障害かもしれない、、、、こう思っている時、一番保護者としてはつらいものです。病院に行って、レッテルが貼られることにも当然抵抗がある。ただだからといって、このままの生活を続けていくと、自分が変になってしまいそう。この狭間で苦しまれる方が多いので、自分のメンタルをキープするためにも、一度病院に行ってみましょう。

発達障害と診断が下ったからと言って、昨日までと何かが変わるわけではありません。その子の特性が明確になったともいえるため、対応はしやすくなるかもしれません。「普通」という実体のないものを追い求めると辛くなります。普通などどこにも存在せず、十人十色だと理解しましょう。

ADHD以外の自閉スペクトラム症と学習障害のセルフ診断を希望される方は下記の関連記事を御覧ください。こちらでは簡易的に出来るセルフチェックリストとDSM-5を引用したセルフチェックリストをご用意していますので、目的に合わせてご利用いただけます。

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3歳,4歳ころから症状が現れる

ADHDは生まれて間もない時には、症状があられにくく、気づくことはあまりないと言えるかもしれません。というのもADHDの特性を考えると0歳から2歳ころまでというのは、どの子供もADHDの特性と似たような行動をとるためです。自我が確立し、状況判断が少しできるようになってくる3歳、4歳ころからADHDの症状が顕在化しやすくなってきます。

そして気になり始めるタイミングとして最も多いのが、幼稚園や保育園に入園したタイミングです。ここで初めて集団生活というものを経験することになります。このタイミングで集団行動が苦手であることがわかったり、幼稚園での忘れ物や友達間のトラブルが多発しADHDを疑うことになるケースが多くなります。と同時に、保育士さんから「一度病院の先生に相談されてみては」と言われることもあるでしょう。

ただADHDを含む発達障害の診断には、一定の期間その症状がみられるのかどうなのかも重要です。また特定の場所だけでなく複数の場所でそれが確認できるのか。つまり幼稚園と家庭で同じような状況なのか、それとも幼稚園だけでの問題行動なのか。この2点をしっかりと理解したうえで、病院を受診するかどうかは決定しましょう。保育園や幼稚園の先生方は教育のプロではありますが、発達障害のプロではありません。そういった意味で「先生に言われたから」という理由だけで安易に判断はしないようにしましょう。

病院に受診するという行為は、保護者にとっても子供にとってもダメージが大きいものです。そのため冷静な対応を心掛けてください。幼少期に現れやすい発達障害に関する記事は下記をご覧ください。

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3歳・4歳・5歳児に現れる自閉スペクトラム症とADHDの特性

ADHD(注意欠陥多動性障害)以外の発達障害

DSM-5では発達障害を7つの分類に分けております。複数の発達障害を併発している場合もあるため、発達障害全体を把握して、そこから自分の子供の特性を見るのが良いでしょう。

皆さんがよく知るところは、自閉スペクトラム症・ADHD・学習障害だと思いますが、実はそれ以外にもこのようにたくさんあるのです。特にコミュニケーション障害は最近よく耳にするようになりました。コミュニケーション障害の中でも幼少期に現れやすいのは「吃音」です。吃音はどもりとも表現することがあります。吃音の特徴は言葉がスムーズに出ない点にあります。「こんにちは」というときにも「こ、こ、こんにちは」と同じ音を繰り返してしまう連発症状があったり、「こーーーんにちは」と音を伸ばしてします伸発症状があったり、「・・・・こんにちは」と最初の音がなかなか発音できない難発症状があったりします。話し方に特徴が出てしまうため、小学校でもからかいの対象に合いやすいという特徴があります。コミュニケーション障害の診断チェックは下記をご確認ください。

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コミュ障かも!?子供のコミュニケーション障害診断チェック(DSM-5)

我が子が発達障害だと分かった時に取るべき行動

私は第一に正しい知識を習得することが最も重要だと繰り返し述べてきています。というのも我が子が発達障害と分かったら、普通は落ち込み精神が錯乱してしまうことでしょう。そういう時に目に入ってくる情報は暗い情報ばかりで、発達障害児が大人になった時にひきこもりになるだとか、5080問題だとか。保護者の皆様がこういう精神状態になっている時は何をやっても絶対にうまくいきません。子育ても焦り、イライラなどで平常心が保てなくなり、ご夫婦の関係が悪化するといった話もよく耳にします。

発達障害自体が問題ではありません。それよりもそのことを起因として家庭の形が崩れ、子供に悪影響が出ることの方がよっぽど悲惨な事です。お子様の自己肯定感を高めていくためにも絶対に避けなければならない事態だと言えます。

そこで必要になるのが正しい理解です。不安を掻き立てるような情報ではなく、発達障害に対する正しい理解を深めていくことが重要です。方法論はいくつかあります。

  1. インターネットで調べる
  2. 本を買って調べる
  3. 発達障害のコミュティに参加して情報を得る
  4. 発達障害支援関係の資格を取る

私がお勧めするのは③と④です。これら2つで「リアリティのある情報」「体系的にまとめられた正しい情報」を得ることが出来ます。

TwitterやFacebookでコミュニティに参加する

コミュニティに参加することのメリットはやはり「リアリティのある情報」を収集できること。そして当事者同士の質疑応答が気軽に出来る点ではないでしょうか。TwitterやFacebookといったSNSでそういったコミュニティを形成していることも多いので、そちらをのぞいてみるのもオススメです。ただそのまま商売に繋げられてしまうことも無きにしも非ず。そういったコミュニティには入らぬよう最初は他の方のやりとりを見るだけにして、安心できるような場所であれば参加するようにしましょう。

発達障害支援関連の資格を取得する

資格を取得するとはちょっと意外かもしれません。しかし、私はとても大切なことだと思っています。なぜインターネットの情報や書籍ではないのか。それは「より体系的にまとめられ、裏打ちされた情報をえるべき」だと考えているからです。インターネットの情報は断片的で言い方をきつくすると「都合の良い情報」が羅列されていることが多いです。さらに出所がわからないことが多い。私の場合はLACcorporationという看板をプロフィールで書いているので、ある意味変なことは書けないわけです。ただそうじゃない個人の方も多数いらっしゃいます。そのような情報に惑わされることを避けたいため、資格の方がよいと思っています。

それに比べれば書籍はまだよいでしょう。しかし書籍も一人の個人が気軽に出版できる時代になりました。極端に言えば1週間あれば皆さんでもAmazonで出版できるんですよ。知ってました?少し驚きではなりませんか?しかも在庫を持たない形で出版が可能なので、多くの人が自分の肩書のためにAmazonで出版していたりします。こうなってくると、どれが良い本でどれが悪い本なのかは判断が難しくなります。

しかし、資格であればどうでしょう。個人で気軽に作ることは基本的には出来ないでしょう。企業や社団法人などが認定をしているはずです。そして資格として世に出すくらいですから、根拠が必ずあります。そういった点で私は資格取得(資格を通じて学ぶ)ことをお勧めしているのです。私の妻が一般社団法人 人間力認定協会の認定する児童発達支援士を取得しましたが、とても良い内容でした。発達障害のことのみならず子育てのことを体系的にまとめられていました。それでいて専門用語が少なく、資格学習によくある「ややこしさ」や「暗記勝負」といった要素がなく、実践で活きる内容だと感じました。発達障害児支援の資格だと「児童発達支援士」と「発達障害児支援士」という2つの資格が有名なようです。2つの資格の特徴をまとめた記事を用意しておりますのでそちらも参考にしてください。

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児童発達支援士と発達障害児支援士資格を徹底比較

外部リンク
発達障害児支援の人気資格|児童発達支援士公式サイト

【まとめ】ADHD(注意欠陥多動性障害)の自己診断と支援方法

ここで紹介している自己診断リストはあくまで参考程度にとどめてくださいね。自己診断には限界があります。もともと人間の脳には成長速度に差があるものです。特に12歳まではその差が激しいため、ADHDの特性が出ているからと言って、安易に判断することは出来ません。

発達障害とレッテルを貼ることは良いことではありません。保護者の中で発達障害と理解し、適切なアプローチ方法を学ぶことは重要ですが、子供が早いうちから「自分は発達障害なんだ」という認識を強めることにメリットは何一つないと言ってよいでしょう。

子育てや教育は、アプローチの方法が本当に重要です。病気を知る、障害を知るだけに留めずアプローチ方法まで会得しましょう。そうすればきっと発達障害児も能力が開花し、将来自立した立派な成人になることが出来るでしょう。